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バカマジメな私が逆ナンで結婚した話♯1

幼稚園に通っていた頃、将来は何になりたいかと聞かれれば“お嫁さん”と答えていた。

クラスの大半の女の子は“お嫁さん”と答えていたような気がするが、あれはそう答えるように誰かが仕向けていたのだろうか?

時は流れて20数年。いや、あれは選択肢が他になかったのだと気がつく。
子供の頃からずっと、当たり前のように、大人になれば“お嫁さん”になれるものだと信じて疑わなかった。

なのに、いざ大人になると思い描いていた来るはずだった未来がいつまで経ってもやってこない。

一時期『仕事が恋人です』なんて笑顔で言ってたけど、歳を重ねるたびにジョークじゃなくなってきたので、いつの間にか言わなくなった。

人間の男ではなくパソコンを熱い眼差しで見つめ、愛の言葉をC言語で紡ぎ、何度も朝帰りを経験した。(システムエンジニアのお仕事をしていた)

マジメな私は仕事が楽しくて仕方なかった。

周りが「なんで結婚しないの?」と私に問う。

社会人になってから彼氏がいなかったわけじゃない。どうすれば結婚できるのか、というより、むしろ結婚するとどんなメリットがあるのか教えてほしいと思った。
よく言うじゃん、結婚、墓場だって。

「なんで彼氏を作らないの?」

いつの間にか彼氏すらいなくなって数年経っていたけど、彼氏がいなくても毎日の仕事が楽しいからこれでいいと思っている私がいた。

リア充...ではないらしい。リアルが充実してるつもりだったけど、仕事が充実しているだけで、休みは家で寝てる私を世間は社畜と呼ぶらしい。

そんなアラサー社畜の結婚を、地元に帰れば母が、妹が、祖母が、結婚した友人が、そして友人のお父さんまでもが気にかける。

『白馬の王子様は乗馬訓練中みたいで、まだ』

『白馬の王子様は迷子になったみたいで、まだ』

『白馬の王子様は落馬して骨折したみたいで、まだ』

白馬の王子様シリーズを逃げ口上にしていたけど、マジメで普通に生きてるだけじゃ王子様は迎えに来られないらしい。

まぁ、確かに、某夢の国のプリンセスたちも普通に生きてるだけに見えて、やつらは普通じゃないアクション起こしてるからこそ、白馬の王子様来ちゃってるわけで、仕事バカな私のところに来るわけがない。

あれ、彼氏ってどう作るんだっけ?
トキメキってどっかに売ってますか?
そもそも出会いがない。
だってほぼ毎日会社にいるんだもの。
いい男、道に落ちてたりしませんかね?

気付いた時にはなんだか恋愛迷子になっていた。犬のおまわりさんもお手上げ。ワンワン泣きたい気分だ...

と思うでしょ?

自称リア充な社畜アラサーは地元から帰ってきたら、あら不思議。結婚のことはどうでも良くなっちゃう。

そろそろちゃんとしなきゃいけない、わかってる、でも、今じゃない。

プリンセスたちみたいにアクションを起こすのは楽じゃない。それが容易に想像つくから、今の生活のままでいい。

泉の中から女神が出てきて、
「あなたの落としたものは、金の吉沢亮ですか?銀の千葉雄大ですか?」
と問われても、

『受注逃した大きな案件は落ちてませんでした?』
と言ってしまうほど、仕事にお熱だったし、恋愛がちょっと面倒に感じていた。

そして、今の生活をずっと続けられると信じているからこそ、“お嫁さん”になるのはまだちょっと先でいいかなって逃げてしまっていたのだ。

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