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バカマジメな私が逆ナンで結婚した話♯5

さて、怒涛の合コン月間を終え、私はいささか自信をなくしていた。
結婚工程表によれば、今頃何人かとデートしている予定だった。現状とは程遠い。

『プラン、ドゥー、チェック、アクション...

プラン、ドゥー、チェック、アクション...』

真っ赤な手帳に描いた工程表を見ながら、呪文を口ずさむ。

次の戦場はいずこ!!と息巻いたものの、むやみやたらに出陣するわけにはいかなかった。

先日の合コンで地味に傷ついてしまったアラサーの心は、癒えるのに時間がかかっているようだった。

加えて、結婚までのスケジュールがだいぶおしている。これ以上の遅れは致命傷になる。

今はまだ、仕事でいうところの、
“何日か徹夜すれば巻き返せる!!”
の状態だよ、と真っ赤な手帳は教えてくれる。

確実に、そして切実に、そろそろ誰かと連絡先を交換して、デートをしたい。

『君に、決めた!』

ネットでサーフィンしまくり、悩みに悩んだ末、
ごくごく少人数の婚活パーティに参加することを決めた。

お酒が好きな人限定!
26〜30歳限定!
本気で結婚したい人限定!

そこは会ごとにテーマが決まっている婚活パーティらしく、私はもちろん“本気で結婚したい人限定!”の会に参加した。

男性5人、女性5人。
相手は本気で結婚したい男性たち。
合コンと違うところは、女性同士も初めましてなのだ。
なので、当然女性陣のことも気になってしまう。

自己紹介が始まる。
1人は私と同じような年齢で、アパレルの仕事をしている女性。
そして、5人しかいないのに、残り3人が“家事見習い”と名乗る少々カオスな婚活パーティだった。

未婚の家事見習いって何?
...どういうことだろう。

...ニートの進化系?

若い女の子たちの間で、家事見習い、流行ってるの?

素朴な疑問が頭をグルグルしているうちにフリートークの時間になった。

私の隣に座っている家事見習いさんが、いろんな意味ですごかった。
歳は23歳、顔はめちゃんこ可愛い。
ニコニコしているし、服装も可愛らしい。
きちんとネイルもしていて、すごくいい匂いがする。

私が男なら、デートしたい。
男じゃなくても、デートしたいくらい可愛い。

しかし、開始30分で“デートしたい”と思った自分を、ぶん殴りたくなった。
私、見る目がなさすぎるのか。

というのも、この女、まったく動かない。
自分がコップを倒しても、誰かに拭いてもらうのを待っている。

誰のグラスが空になっても、自分のグラスが空になっても、聞かない、言わない、注文しない。

果ては自分の話ばかりで、相手の話、これっぽっちも聞いていない。

本気で結婚したいって思っているのか?
それとも何か?今回は彼女にとってハズレの会だったのか?
いや、気に入ったらしい男性にアピールしてるところを見ると、彼女なりに本気なようだった。

彼女は、自分が可愛いことを知っている。
でも、内面のブサイクな、ありのままの彼女を好きになってくれる男性はどれくらいいるのだろう。

少なくとも私は彼女と友達にすらなれそうにない。

いや、男性は、やっぱりこういう女性が好きなのだろうか?

人のふり見て我がふり直せと言うし、
自分自身の一挙手一投足が魅せ方に繋がるんだなと改めて気付くことができた。

さてさて、このカオスな会の結果、私はなぜか4人から番号が書かれたカードをいただいた。(やったー!)

その中の一人に、この家事見習いさんの印象について聞いてみた。

「んー、顔は可愛かったけど、あの手のタイプは、一発ヤッたら終わりかな」

やっぱり。
あのタイプの女性は男性も好きだけど、決して大切にしないのだ。まして、結婚の対象にはならない。

その後、顔面平凡アラサー女はなんと番号をいただいたうちの二人とデートすることになった。
ついに、ついに、デートだ。
久しぶりのデートなのだ。

『私にあの顔面があればなぁ』

アラサーは小躍りをしながら、平凡な自分の顔も案外悪くないぞと呟いてみた。

やっとスタートラインに立てた気がした。

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