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2023年4月26日

独陸運局が発表したBEV新車登録統計を見て思うところがいくつかあった。まずはテスラの強さである。シェアは約22%で、ダントツの1位。ドイツ車はモデル数が少ないわけではないが大きく引き離されている。本国で独ブランドがトップになれないということは苦戦を象徴していると言えるだろう。ベンチマークであるテスラの背中は依然として遠いという印象を受けた。

中国車は今年に入ってから統計に登場した。ブランド数は多いものの、販売台数は今のところ少ない。欧州市場での評価が定まっていないことから、消費者は当面、様子見を続けるだろう。ただ、上海モーターショーで比亜迪(BYD)などが存在感を示していることはドイツでも報じられている。性能やサービスに対する信頼感が広がれば需要は大きく伸びる可能性がある。BEVは通信機器でもあることから、個人情報保護に関する懸念を解消できるかどうかも重要なポイントとなりそうだ。

日本車は予想通り低迷が続いている。出遅れているのだから仕方がないだろう。挽回を期待したい。それとともに、今後は世界の市場動向を読み誤るという過ちを繰り返さないでほしいと切に願う。

BEV消極論の根拠として、火力発電が多い国や地域では販売しても製品ライフサイクル全体で排出されるCO2の量がむしろ増えてしまうという主張を日本のメディアでよく見聞きした。だが、少なくとも欧州や中国ではBEVのニーズが大幅に増えることが何年も前から明らかになっていた。ほぼ確実な需要が予想されていたにもかかわらず製品開発に本腰を入れなかったのは大失態である。世界で通用しない内向きの論理からはすぐにでも卒業しなければならないだろう。

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