2022年6月1日

コロナ禍の発生後、食事はもっぱら自宅で取るようになった。炭水化物はご飯か麺類のどちらかであった。
しばらくはそれで良かったのだが、やがて食傷気味になったため、パンも選択肢に入れるようにした。昨年のことである。

自分で焼くのは面倒なので購入している。最初は近所のスーパーREWEに入っているパン屋を利用していた。一軒で買い物を済ますことができるからである。
REWEのパン屋は悪くない。数年前に傘下のグロッケンからシェーファーに代わり質が良くなった。それでもやがて飽きがきたため、散歩圏内にある自営のパン屋を数軒、試してみた。

そのなかの1軒が格段に美味しい。特に気に入っているのはディンケルフォルコルンブロート(ディンケルは石器時代から栽培されている小麦、フォルコルンブロートは胚芽、胚乳、表皮をすべて含んだ玄米のような麦を挽いた粉で作ったパン)である。コクと適度な甘みがある。普通に挽いた粉を使ったものと、挽いていない麦を混ぜたものとがあるが、ともに素晴らしい。ニンジンパンとケーニヒ・ルートヴィヒというパンもお気に入りだ。ともにディンケルをベースとしている。

良いパン屋を見つけ、日々の生活の喜びがひとつ増えた。店に行くのが楽しみとなった。そんなある日、いつものように店内に入ろうとすると入り口に1枚の紙が貼られていた。
読んでみると、5月末で閉店するとのこと。目を疑い店員に聞いてみると、そうだとの返事。「とても、とても、とても残念です」との言葉が思わず口から出てしまった。

聞けば隣街のグリースハイムに本店があり、そちらは営業を続けるという。散歩には少し遠いが、6月からは本店を利用するつもりである。
ちなみにこの店はミュラーズ・バックマヌファクトゥアという。フランクフルト・グリースハイム駅から徒歩7分のハルトマンスヴァイラー通り93にある。1885年創業の老舗だ。

店から100メートルほど南にはマイン川が流れている。目の前に見える閘門は歩道橋を兼ねており、眺めが良い。岸には釣り人もいれば、寝っ転がっている人もいる。

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