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英語の発音についてのうすい感想 3(母音編 2)

残りの母音について書いて終わりにしようと思う。
「う」と「い」と「え」、プラス二重母音と母音性Rの話。


ふたつの「う」の音:/ʊ/, /uː/
このふたつの音の中間に日本語の「う」があるイメージ。
「う」のイメージは唇をすぼめることと、舌の高さが真ん中くらいであること。

/ʊ/ push
「う」より、もっともんやりとした音。
唇のすぼめ方と舌の最初の位置は日本語の「う」くらい。
特徴は、発音中に舌が斜め奥に少し下がること。
最後は若干「お」の要素を感じる、くぐもった音になる。
ネイティヴスピーカーがゆっくり"Good"という時とかに、音の変化を明瞭に聞くことができる。

/uː/ pool
「う」よりももっと強調した「う」
唇は大げさにすぼめる。
舌の位置はやや前かもしれないが、特に意識しなくてもいいような気がする。
ちなみに音を伸ばすかどうかは音の本質ではない。
短く発音したとしても/uː/は/ʊ/にならない。
口の形も舌の位置も違うのだから。

/ʊ/, /uː/を考える時、日本語の「う」との違いから始めるのが楽だと思う。
けれど最終的には/ʊ/と/uː/の違いが出せればいいので、途中から日本語の「う」のことは忘れた方がいいかもしれない。


ふたつの「い」の音:/I/, /iː/
「う」と同様、このふたつの音の中間に日本語の「い」がある。
「い」は、口を横に開き、舌の位置は前の上の方。

/I/ sit
ゆるい方の「い」。「う」でいえば/ʊ/の方。
表記の関係で見にくいですが、"I"はエルではなく大文字のアイのような記号。
日本語の「い」と同じ口の形だけれど、舌の位置がやや下である。
だからぼやけたはっきりしない音の印象を受ける。

/iː/ cheese
はっきりしたほうの「い」。「う」でいえば/uː/の方。
口を横に思い切り開く。口の中の空間は高さが短くなる。
それで舌を上の方に持ってくるので、狭いところに息が通り明瞭な音の響きになる。
もっと舌を持ち上げれば"Y"の音に近くなる。
これも/uː/と同様、短く発音したとしても/iː/は/I/にならない。

「え」:/e/
/e/ pet
日本語の「え」でいいんじゃないかと思う。英語と日本語の母音の中でいちばん似てる音かもしれない。
ただし、/e/の方が「え」よりも口が大きく開く。
少し大きめに口を開けて「え」というとそれっぽい。
/ɜ/という音もあるが、/e/との違いが実はよく分からない。
なんとなく、/ɜ/ (airの最初の音)の方が口の開き方が大きいような気がする。
かなり「あ」に近いと思うこともある


母音性R bird/hurt
"R"は子音である。
けれども前々回に触れたように、「舌を上方奥に持ち上げてうなり声を出すように口の奥の空間で響かせる音」を出し続ければ母音性Rになる。
子音の"R"はこの母音性Rの状態から舌を下前方に開放してやることで出る音だ。
最初に舌を持ち上げて唸りながら一気に舌を動かして次の音に移行する。
"Don't rest in peace. Just rock 'n' roll!"などと言って練習するとよい。


あとは二重母音があるが、実践的にはそれぞれの母音を続けて出すだけなので個別には紹介しない。
鼻母音になったりもするので、そのあたりは実際の音を聞いて慣れた方が早いような気がする。
一般論としては前の音の方を長く、後ろを小さく発音する。
/ai/であれば「アーィ」
ひとつだけ注意するとすれば/ei/の音。
これは最初の/e/の時から/iː/の口の形をして、それから/iː/に移行する。
つまり最初から口を横に広げて/e/を発音する。
ちなみにこの音は/I/ではなく/iː/の音。
音を伸ばす必要はなく「えい」と短く発声する。
最初の/e/も後ろの/i/も両方短い。

だいたいこんな感じで英語の発音について思うことは終わりです。
長々とお付き合いいただきありがとうございます。
ちなみにイギリス英語では子音の前の母音性Rは発音されません。
"bird"はアメリカ英語だと"B"+母音性R+"D"ですが、イギリスだとB+/əː/+Dです。
ひとつもRの音が出ていません。


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