『BEATLESS』は序盤の評価を逆転できたか?:2018年残念アニメ
結論:無理でした。
このアニメは★2でそれは序盤で切っても最後まで見ても変わらない。
『BEATLESS』は同名のSF小説のアニメ化作品だ。私は未読だが原作はそれなりに名が知られているようだ。
物語の舞台はアンドロイドが一般化した近未来。人類を追い越した超高度AIが生み出した五体の高性能女性型アンドロイドが流出。五体はそれぞれ設定された目的にしたがって社会に干渉を始める。
その中の一体・レイシアと偶然遭遇した主人公・アラトは彼女の所有者となって事件の渦に巻き込まれていく…。
放送開始前はそこそこ本格っぽいSFと綺麗な作画に期待されていた方だと思う。
ところがいざ放送が始まると内容が強引に萌えアニメテンプレに押し込んだ感が強く、期待したようなSF感は薄かった。
また制作遅延を理由に序盤から何度も総集編を挟んだことで視聴者の評判は下がっていった。(完結編は『BEATLESS FINAL』として追加枠で放送された)
私は総集編は気にならなかったが内容についてはガッカリしたので序盤で視聴をやめた。
ところがこのアニメ、Amazonのレビューを見ると途中から高評価がやけに増えているのだ。
曰く「終盤の展開がよく、人間と機械の関係を深く考えられる名作」らしい。
一体このアニメに何があったのか。本当に終盤は素晴らしい内容なのか。それとも低評価をつけた人間の大半が視聴をやめたためにて適正のある人だけが残ったのか。
私はスマホゲーをポチポチしつつ『BEATLESS』の続きを視聴することにした。
序盤
主人公・アラトはアンドロイドのヒロイン・レイシアに家政婦兼疑似恋人として存分に甘やかされる。
彼は明らかな異常事態から目を逸らして「僕はチョロい男だな」と度々ボヤくのみ。
その割に事件が起きるとなぜか率先して顔を突っ込みに行く。ただの高校生に事件を解決する能力などなく、事件はレイシアが一体で解決してアラトは足手まといにしかならない。
とにかく主人公に魅了がない。
また、マーケティング的な理由からかアラトと友人二人それぞれの妹の三人組が執拗にフォーカスされる。
アラトの妹は“天真爛漫”という設定になっているが脚本と演技があいまってただの発達障害にしか見えず、他2名は没個性すぎて何も感じるものがない。
完全に失敗している。
この尺で世界観を見せた方が作品の内容はよくなっただろう。
中盤
相変わらずアラトはレイシアに甘やかされる。
その一方でアラトの友人・リョウが高性能アンドロイドの所有者となり事件の解決に乗り出す。
乗り出すのだが、彼が破壊行為を行う高性能アンドロイドを放置して無害なレイシアのみを執拗に狙う。その理由はアラトにも視聴者にも説明されない。
おかげで出会う度にバトルを挑んでくるポケモンのライバルにしか見えない間抜けさだ。
終盤
レイシアが超高度AIであることが明かされる。
何か問題が発生する度にレイシアの「想定内なので対策しておきました」が発動する。その割に毎回レイシアは苦戦するポンコツっぷりを晒す。
レイシアの「超高度AIの電源を切れることを証明すれば人類と機械の関係は改善する」という謎提案に従って、アラトはレイシア達を生み出した超高度AIの元へと向かう。
大規模な破壊活動を行い死傷者を出すようなアンドロイドを勝手に製造するAIを、事後に電源が切れるからといって人類は信用しないだろう。
アラトと超高度AIで問答が行われ、事件は解決したことになるが、超高度AIの危険性については何も解決しないまま物語は終わる。
総評
とにかく登場人物の行動原理が謎。
なぜそう判断したのか、説明がないかあっても破綻している。
また、アンドロイドや超高度AIはことあるごとに人間に権限と承認を求めるのだが、彼らは承認がなくても自律的に行動を起こして破壊の限りをつくす。
何に承認が必要で何に承認が不要なのか視聴者からはわからないため、SFっぽい発言をとりあえずさせてみたようにしか見えない。
単に描写不足で原作にはしっかり描写されているのかもしれないが、私はそれを確認する気にはならない。
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