見出し画像

【825/1000】おくりびと

 私、子供のころから無趣味が趣味であると言い切れるレベルで、趣味と呼べることがありません。人生100年時代のもうすぐ折り返し地点に到達するのですが、いまでもその無趣味は継続中で、もちろん映画も詳しくありません。

 そんな私が、なぜかnoteでのアウトプットを続けていて、ここに何か目的があるかというと、ただなんとなく・・・という意外に言葉が見当たらないのですが、今回たまたま「#映画にまつわる思い出」の募集を目にしました。日ごろから映画を見ているということもなく、本当であればこんなところに投稿するに値しない人間ではありますが、今回ふと思いついた映画があり投稿してみました。

 その映画は「おくりびと」(2008年製作/滝田洋二郎監督/音楽:久石譲氏)です。恥ずかしながら…本当にこの場に投稿する身としては恥でしかないのですが…社会人になってから自分だけのために映画館で映画を見たのはこの「おくりびと」と、次にみたのは「カメラを止めるな」だけなんです。

 そんな私が今回投稿したのは、この映画に関する私のエピソードをちょっと語りたい想いがあるからで。当時、この「おくりびと」を観てとても複雑な気持ちになったことをいまでも覚えているのです。

 2008年、私が兵庫県宝塚市にあるフィットネスクラブで仕事をしていた時のことです。常連の方で、日ごろからとてもよくしてくださったご夫婦のお客様がいたのですが、他のお客様より、そのご夫婦の奥様が亡くなられたことを知りました。
 仲が良かったしご主人はかなりショックだろう…しばらくご来店はないのだろうな…と思っていたのですが、なんと2日後にはいつも通り来店され驚いていたのですが、そのご主人から声を掛けてくださり、こんなお話しくださいました。

「なんか気を遣わせちゃって悪いね。でもね、奥さん身体は亡くなったけど、ちゃんと一緒に生きてるから心配しないでね。生きてるってことは死ぬってこととセットなわけだからなんの不思議もないわけだし。いつそうなるかっていうだけやわ。あまりにもすぐに奥さんの後追っかけたら、また一緒におらなあかんのかわいそうやろ?だから僕は、奥さんにはしばらくゆっくりしてもらえるようこっちの世界で元気でおらなあかんねや。」

 これ聞いて、私はほかのお客様がいる中で泣いちゃいましたよ。もう大泣きです。この話をきっかけに、私も身近な人の死というものに向き合ってみたいと思い、当時ちょうどやっていたこの映画「おくりびと」をひとりで観に行ったのです。

  この映画で私が一番印象に残っているのは、主人公(本木雅弘さん)の同級生(杉本哲太さん)のお母さん(吉行和子さん)が亡くなり、火葬する前に火葬場職員(笹野高史さん)が語る台詞。

「長くここにいるとつくづく思うんだよ。死は門だなって。死ぬって言うことは終わりということではなくて、そこをくぐり抜けて次へ向かう、まさに門です。私は門番としてここでたくさんの人を送ってきた。行ってらっしゃい、また会おうのっていいながら。」

 そして点火スイッチを押すんですよね。あのシーンは深く深く私の心に刻まれました。きっとこのご主人も奥様をそんな気持ちで送りだしたのかなとか思いながら。「また会おうの」の台詞があの笹野さんの声と共に、上書きされることなく忘れられない記憶になっています。

#映画にまつわる思い出 #1000日チャレンジ #おくりびと #また会おうの


フィットネスのある生活で日本を元気に健康に。2019.7.13〜 1000日チャレンジ中!