覚え書き「『私のおじさん』私論」を書くにあたって

 ドラマを見たら感想を書いておきたくなる。特に、このドラマは「面白い」とひとに紹介されて見たということもあり、見ている途中、感想文の断片が頭の中で何度も飛び回り、見終わったら書く気満々だったのだ。だが、見終わって一か月以上経ったが、なかなか書き始められないでいる。頭の中に、大量の感想はあるのだが、それをまとめて文章にするのは大変な集中力が必要だ。それだけのエネルギーがなかなかわかなかった。
 なら、別に仕事でもないのだし、書かなければいい。しかし、それはとても惜しいような気がする。内面世界で起こったことは、しばらくしたら色あせてしまい、もっと時間が経つと跡形もなく消えてしまう。若い時には、印象深い受容体験(フィクションなり旅行なり)をしたら、それは永遠に残っているものだと思い込んでいたところがある。間違いだった。大半はほとんど忘れてしまうのだ。特に、自分は記憶力に相当な難があるらしい、ということが他人との比較でもわかってきた。
 あの小説は面白かった、が、どんな話だったか完全に忘れた、というわけのわからないことがしょっちゅう起こるのだ。もちろん、感想文を書いておいても、記憶の消滅が止められるわけではないが、読み返した時に書いた時点での何らかのリアルと触れ合うことはできるだろう。こんなこと思ったんだな、というだけでも十分だ。また、中途半端な記録なら書かない方がマシ、なんてことはない。完成度よりも、書いておくことを優先すべきだ。とは言っても、最低限、読めるようにはしたい、では、最低限をどのあたりにするか、というのがまた葛藤なのだが、まぁ、文法的な間違いがなければよし、というくらいにしておくのが妥当だろう。
 さて、このドラマの話だった。こんな前置きを書く暇があるなら、内容に入ればいいのだ。うまくまとめて書く自信がないので、とりあえず、今の時点で思いついたことから書いておきたい。一か月経っているので、細部については、もう記憶違いがあるかもしれないが、とりあえず書いて、後から気づいたら修正するという形にする。また、これは、未見の人に内容を紹介し、面白いから見てねと誘うための文章ではない。そういうものは、プロの仕事に任せたい。見終わった人と、あれはこうだったのではないか、ここはこう見たけどどうですか、と確認、共有したいという気持ちで書くので、ネタバレもしまくるので、これから見る人は、読まない方がいいと思う。色々、否定的に見えるようなことを書くかもしれないが、面白い作品だったことは間違いない。これから見る人がうらやましいくらいである。


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 以上は、先にアップした記事の前に書いていた部分です。(若干、推敲しました。)こういう助走文を書かないと、続きを書けない身体になっているよう。去年の9月に書いた『椿の花咲く頃』の感想文は、ほとばしるようなエネルギーそのままに書いたもので、とにかく、書かないと始まらない、というような気分だった。もしかしたら、そんな風に文章を書いたのは、生まれて初めてだったかもしれない。自分向けの日記ならあるかな。今回は、ちょっと「求められているから書いてみるかな」なんて気持ちもあった。だから、まとめようとする部分と、書きたい気持ちがちぐはぐになっているような気もする。でも、読み返してみたら、似たようなものかもしれない。
 『私のおじさん』には、『椿』ほどの没入はしなかった(ような気がする)ので、違和感を感じる部分も多く、そのあたりもう少し書きたい気もするが、もうパワーが切れた。ずっと遅筆だった(というか、一行も書けない状態、が長く続いてきた)ので、とにかく、沢山書く訓練をしよう、という気持ちもあり、早く書くことを心掛けているのだけど、この感想文程度の文章でも、なんだかんだ10時間以上はかけているような気がする。もう少し、スピードアップしたい。なぜなら、自分の集中力の持続時間がとても低いから、遅いと完成までたどり着けないのだ。
 
 『私のおじさん』に関して、もう少し書いておきたいのは、IU論、葬式論、出家というご都合主義的設定について論、など。

 最近、本作を見たうちの同居人は、全然面白さが分からなかったらしい。たぶん、そうだろな、と思った。設定にいろいろ無理がありすぎる、と文句を言っていた。「派遣社員があんな態度やったら、一発でクビやで。脚本家、会社で働いたことないんやろな」というような。まぁ、確かに。その他いろいろ。
 ということもあり、やはり「男向け」な気がする。女性の知人で「面白い」と言っていた人いるので、当たり前ながら個人差はあるだろうが。

 あと、実は、まだ未見なのだが、『パラサイト』では、ここで、めちゃくちゃ良い人ドンフンを演じていたイ・ソンギュンが金持ちの冷たい人間を演じているそうなので、どんなふうに感じるか、ちょっと楽しみである。

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