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俺達はどうやって早割入稿するか

早割していますか?

こんにちは、円井紅緒と申します。

私は先日、細々した同人人生で12冊目の小説同人誌を出しました。
取り立てて特徴のない字書きをしている私ですが、早割のシステムがある印刷所では、必ず一番早い日程で入稿をキメてきました。

家庭では最近小学生になった子ども一人、会社では主任の肩書と数人の部下を抱えながら、脳内に浮かぶ推しキャラの妄想をしたため小説を書いています。

早割は良きものです。

日程に余裕があるから何かミスってても落ち着いて修正できるし、印刷所の中の人も丁寧に見てくれる。割増だと、修正や差し替えしてる暇がなく、何かあってもそのまま印刷GOかもしれない。私のような粗忽者には難易度が高いです。

そして早割は割引なので、安いです。


おおむね2割〜3割引いてくれます。割引対象となるのは大抵セットおよび基本料金のみで、特殊加工などのオプションは対象外のところが多い。でもたまに、丸っと全部から引いてくれるところもあります。探してみましょう。西方にあります。

印刷所や元々の総額にもよりますが、数万から十数万くらいの割引額になります。これは庶民にはデカいです。

早割で入れることが出来れば、浮いた費用でノベルティを作ることも出来ます。また、イベントで宿泊するのがカプセルホテルからビジネスホテルに変わるかもしれない。ちょっと高めのおやつもデパ地下で買えます。

お金の力は偉大です。


私くらいの早割奴になると、自分を追い詰めるために原稿が終わっていないのに予めノベルティを発注しておきます。すると、ちょうど図ったかのように修羅場期間中にノベルティがお届けされます。金銭的、精神的、そして物理的に圧迫されます。とても邪魔です。

仕事から帰って来るたび、玄関にノベルティがギチギチに入ったデカい段ボールが目に入ります。目障りです。子どもには『お母さん、お店屋さんするの?』と聞かれます。
絶対にイベントで配りたいので、原稿を頑張ります。早割しないとノベルティ代金がヤバいことになるのですから。

早割のメリットはとても大きいのです。

ビッグイベント前だと、狙っていた印刷所の枠が埋まってしまって、ギリギリ入稿ができないなんて不運もありますが、早割ならそんなアクシデントも無縁。

でも、早割にもデメリットはあります。早く入稿しないといけないので、哀しいことに執筆期間が短くなります。早割を捨てれば推敲回数を増やし、あとからあとから発見されるしつこいダニのような誤字脱字の流出も、より一層駆除やすくなるでしょう。

しかし、同人はそもそも趣味なので、印刷費によってカード破産寸前で追い詰められて同人活動を辞めるよりも、少々粗があっても経済的な方が長く続けられるかな、と思っています。これが私が早割を選ぶ理由です。たとえものすごい誤字脱字があっても。

また、いつも早割入稿していると人から『余裕入稿』と表されることもありますが、実際は締切がすごく早くなるので、余裕は全くありません。
自ら選択したすごく早めの締切で自らの首を絞め酸欠になりパニックになっていく……それが早割奴という生き物です。

では、早割するためには何が必要でしょうか。

パニックになりながらもなんとか早割日程に間に合わせていく、そのために必要だと私が思うものを以下に記します。

①銭ゲバであること

まず銭ゲバであれ。銭ゲバは才能です。

銭ゲバであればあるほど、早割に対してモチベーションを高く維持しながら早めの滑り込み入稿できます。割引にメリットを感じる人でなければ頑張れないと思います。

②カレンダーには一番早い早割締切だけを書け

念のために通常締切も……とか考えてはいけません。
的が複数あると必ず軌道がブレます。早割だけ射抜けばよいのです。早割入稿できないなら落とす!くらいの銭ゲバな気持ちを持ってください。

③己の創作ペースを掴め

本を出すためにはまず、自分がどれくらいのペースで執筆できるのか大まかに知る必要があります。

小説の場合、漫画のようにネームを切る作業がないので、完成時の総ページ数を把握するのが難しいです。勘で書くと表紙の背幅が本文完了まで決まらないので、割と大変です。みんなたちはどうしてます?

こういうストーリーの話を書きたい、と考え、それに何ページいるのか見積もることができるのは、プロットを作って計画的に進めていける、それなりの手練れではないでしょうか。

私はプロット作れない字書きでもあるので、そんな芸当は不可能です。なので、執筆期間とペースからエイヤッと決め打ちしてしまいます。例えば、1週間で1万字書けるなら、執筆期間が2ヶ月あれば8万字の本、という風に決めてしまいます。
箱の容量を8万と決めてしまえば、あとは自分で作ったおかずやご飯を詰めていくだけです。その作業も大変ですが、『2ヶ月で小説を一本書け』と言われるよりも、少しだけ分かりやすくなりました。たぶん。

そして肝心の執筆ペースを把握する方法ですが、勝手に週刊連載をするがいいです。

媒体はピクシブでもXでも何でもいい。学校も会社もありがたいことに一週間周期で我々の時間を拘束してくださるので、これで大体のペースが掴めます。
できれば、ジャンルにハマりたてでイベントも本を出す予定もなくて、でもとにかく何か書きたい!というタイミングでやっておくといいです。
コンスタントに本を出し続けていると、ひとつ締切が終わると次のイベントの申し込みやホテルの予約、印刷所の締切確認などやらなきゃいけないことが多くてコツコツ週刊連載している余裕がなくなります。

私の場合、夏頃から1週間〜10日ペースで小説をピクシブにアップし、大体12,000〜14,000字でした。

さあ、14,000字/Weekの目安ができました!これで書きましょう!

ちょっと待て、時間と気持ちに余裕があるときにノリノリで書いた場合の文字数で計算していいのか?と思ったあなた。

それでいいんです。

なんやかんやでそうなります(理由は後述)。

それでは実際の早割スケジュールを見ていきましょう。モデルは私が3月に出した本です。

2024/03/10発行の小説同人誌

以下が実際の進捗です。文字数の太字は実績です。

前半
〜12/31 20,000字予定→15,000字
〜1/7 帰省、旅行のためなし
〜1/14 34,000字予定→25,000字
〜1/21 48,000字予定→35,000字
〜1/28 62,000字予定→42,000字


はい、進捗だめです。
年末年始に帰省と旅行があったり家族がずっと家にいたりで時間が取れず、さらに1/27はアニメが完結した進撃の巨人FESで横浜に行き、翌日は鎌倉〜辻堂海浜公園らへんを江ノ電とレンタサイクルで走り回ってしまい、なんの成果も得られませんでした。

鵠沼海岸


ホテルや新幹線で書けるかと思い、Bluetoothキーボードを持参しましたが、14文字しか書けませんでした。カルラママのメッセージか?
進撃アニメは『The Final Season 完結編(後編)』という窓際社員が作ったパワポ資料みたいなタイトルになってまで、最後まで描いてくれました。アニオリで脱線させたまま終わる、みたいな誤魔化しをされなくて本当に幸せでした。この世界から、戦争はなくならないのですか?子どもたちはいつ『森』を抜けるのですか?


後半
〜2/4 76,000字予定→50,000字
〜2/11 90,000字予定→72,000字
☆2/14 表紙締切、96,000字で完了予定→80,000字
〜2/18 推敲、誤字脱字チェック
☆2/19 本文締切 →99,000字、本文入稿
☆3/5 見本誌が自宅に来る
☆3/10 イベント当日

ほうらご覧。なんとかなっただろう。

なんなら、予定の文字数よりちょっと増えている。序盤〜中盤まで全然捗っていなかったのに、ラスト1週間で急にギュンッとなりましたね。
本を出すオタクのほとんどがこの挙動をしていると思う。みんなたちも同じはずだ……。
夏休みの宿題をラスト3日でなんとかやっつけていたアレと同じ原理です。

大事なことを言います。

《ラスト1週間の執筆速度は、時間に余裕があって伸び伸び書いていたときの速度を遥かに越える》

ここを見くびって日和った見積もりをしていると、締切直前でページ数が増えて数万円増額します。ぽんぽんが痛くなります。
また、増えたページ数によっては背幅が足りなくなって表紙データの修整が必要になることもあります。
せっかく頑張って書いたのにガッカリするの、悲しくないですか?
始めから多めに感じるページ数にしておけば、ダメージは少なめです。

ご覧の通り、毎週ずっと同じペースで小説を書けることは、まずないです。
私はプロットも設定資料も作らないので、調べながら本文を書いているとどうしてもペースが落ちますし、いつの間にかネットで端っこカステラを10パック買っていたりします。
その他、仕事の都合でグチャグチャになったり、子どもの機嫌が悪くてなかなか寝なかったり、夫がこのご時世韓国に出張しトコジラミの恐怖に怯えたり……。色々します。

それでもなんとか元気でやっています。
印刷所の中の人も、早め入稿の方が対応が楽なはず。

あなたも一度、早割をキメてみませんか?

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