夜高

言葉の羅列

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  • エッセイ

    不明瞭な視点。曖昧な洞察。未完成な現実。

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    全ては陽炎。今が全て。

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    この世界のどこかではない世界の中で

最近の記事

個展をしたって話

7月に入って夏が本格的なる前。6月最後の日に僕は個展をした。たった一日だけ。コラージュアートの。 自分の中では個展だと小っ恥ずかしくて言いたくなかった。でも色々な人から、個展おめでとーと言われた。「ソロ展示会」だと言い張りたかったけど諦めることにした。諦めが早いことには定評がある。 結論から言うと成功だった。たくさん人が来た。 職場の人に自分の創作活動をバラしていなかったのにバレていた。みんなで寄せ合って大きな花を送ってくれた。職場の偉い人も覗きに来た。ビビった。全力で

    • 詩と散文とこの場所の鋏

      退屈で息が出来ないと思っていた「僕」は途を間違えたせいで本当に息が出来なくなってしまった。だから肺を海に捨ててきた。虚ろな目になったおかげで視界は灰色になって「世界」を捉えやすくなった。これは良い気分なのかと言われたらそんなことはない。堕落論信者になった「僕」はニヒリズムと僅かな自尊心で「世界」を探索するようになった。 あるいはシャチとの融合的な会話。 ここに残っているのは紙の切れ端と、詩と、散文と、燃え尽きた脳漿。これから産まれるものは「世界」そのものだった。内面と両面

      • それほど長くない夜に

        それほど長くない夜に 僕は君と台所に立っていた 冷たいコーラとジンジャエールの瓶 ただ僕は君と冷たいジュースが飲みたかった だけど君は炭酸が嫌いだった わざと君はコーラの炭酸を抜いた 僕も真似したかったけれどしたくなかった それほど長くない夜のこと それほど暑くない夜のこと まだ夏が続くと錯覚した夜のこと

        • 夜高さんが100個の質問に答える

          ふと久しく行ってなかったシーシャ屋に行って、シーシャを吸っていた。そのとき店内の本棚にあった【服を作る: モードを超えて】という山本耀司の本をパラパラと捲っていたら、彼への質問集の章があった。そういえば、僕は全然自分のことを語ることはしていないと思ったので、それを真似てやってみようと思った次第。こういうことをするのも面白そう。そんな訳で質問を100個作って答えていく。あとシーシャはとても美味しかった。 1. あなたの一番古い記憶は何ですか? 祖母におんぶしてもらってあやし

        個展をしたって話

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        記事

          水が流れていきました

          水が流れていきました 綺麗で澄んでいるはずでした 花が枯れていました 綺麗に咲いているはずでした 子供が泣いていました 面白く笑っているはずでした 大人が笑っていました 悲しくて泣いているはずでした 水が流れていきました 何事もなく海に混ざっていくだけでした

          水が流れていきました

          濁り

          世界に漂白剤をかけた 真っ白で何も見えなくなった 目が役に立たなくなった そして世界は黒く染まった

          ノイズノットキャンセル

          ただ音だけが鳴り止まない ただ音は連続して波形をつくる 無音の世界に憧れたりもするけど 音を再解釈する人がいる限り ぼくたちの耳に音が入ってくる それはぼくたちの音なのだ そしてこれからも続く音なのだ 汚くても綺麗でも 醜くても美しくても ぼくたちの生きている音は続いていく

          ノイズノットキャンセル

          孤部屋

          無垢 螺旋 眉間 架線 外官 破線 回線 孤独な部屋の結晶 回線 破産 解脱 伽藍 瞳孔 螺旋 無限

          霞任せ

          オールドレンズで覗き込んだ世界があった カールツァイスのレンズを拾った なんでもない風景がぼやけている 時代が逆さまになって僕にやってきた 色を失った蛍光色が鮮やかに刺激する まだシャッタは切ってきない 永遠に切れないままかもしれない

          午前2時を噛んだ

          テキーラの雫 折れた脚 集まった瓶が割れていく 何文字でも構わない でも短くてもいけない 長すぎてもいけない 思考が切れる瞬間まで続けるのさ ここから先はどこに行くのか テキーラはただの雨だった 傘なんて持っていない 濡れて風邪を引くだけさ 両手を広げて雨を受け止める 誰もいないから

          午前2時を噛んだ

          Shadow Montage

          影を作った 飛び降りた鳥とそれに付随する記憶 フラワー吸って吐いてRawで巻いておく 横断歩道の切れ目から鮫が顔を覗かせた 歩道橋には無数のレーザー照射 スワンネックのウィング弛ませて走る車 GUCCIのサングラス 視界は暗い ネガを現像する こんなことばかり考えている 意味のない単語の羅列 破綻した物語 アブストラクトの呼吸法 誰にも共感を求めていない どうなるかただ知りたいだけ ここに意味を見つける奴なんて イかれた奴がすることさ だから誰にも感想なんて言うな そんなもの

          Shadow Montage

          不眠症の誰かに

          薬がきれた もう必要ないとゴミ箱に捨てたんだった ゴミ箱を漁っていると手が切れた 何もかも分別してないで入れていたから 空き缶の端で指を切った 血が流れた 舐めると鉄の味がした 薬は見つからなかった 夜は長い どうせ眠れないし このまま河岸を散歩しよう いつ溺れたっていい 朝は来ないでいて欲しい

          不眠症の誰かに

          明滅灯

          立ち話もなんだからとりあえず座って ビールとコーラを混ぜて不味い酒作って あれこれ下らないこと話そう 寂しさに慣れてきた頃に笑顔は固くなって 仕事だと言い訳して悪魔に親指を立てている 天使が目の前いたら中指を立てるようなクソ野郎でも神様くらいはたまに信じている 俺の顔を見てハグする奴もいれば 怪訝な目をくれる奴もいるさ もうそろそろ宗教にハマりそうだ でも結局また隠れて中指を立てるさ 幸せや不幸なんて全部ミキサーで溶かして たまには神様に愚痴を言いたい

          夜は待っていない

          たくさん夜を見てきた たくさん星を見てきた カーテンレールを外した ある子供は自分の手で夜を千切った 仕事に疲れた男はビール瓶を投げた 香水の切れた女はハイヒールを星に刺した たくさん夜が訪れた たくさん星が生まれてきた もう終わり 世界には色が欲しい

          夜は待っていない

          ノードコア

          窓から漏れている光に人間を見た お金が空を飛んでいる 乱高下する血液のせいで目が絡む テンプレートなゴミ箱とゴミ袋 カラスが四階から飛び降りた 荒縄と懐中時計 数百文字のナイフとピアドレッサー まずはここから壊していかないと会話にならない でもこれは俺がただ思いついたことを繋ぐだけ だから意味なんてない 落下するだけ

          ノードコア

          即興で打ちつけた言葉は肥料と混ざる リン酸カルシウムの白い粉が胚に届く 綺麗な言葉は胞子になってカビになった 裁かれず砕いた様々な傷ついた単語 ディグるとモグラが盗んでいく 地獄行きのエレベーターのボタンは全て6 天国行きのエスカレーターの手摺は天使の羽 盤面変えた人生の終着点 釘と鍵と薪火を消すのは死神