2月1日「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

マネー・ショート 華麗なる大逆転
原題:The Big Short
監督:アダム・マッケイ(「バイス」)
脚本:チャールズ・ランドルフ(「スキャンダル」)
   アダム・マッケイ
原作:マイケル・ルイス「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」


※ネタバレ多分してます


でかい本番が終わり、久しぶりに映画を観れました。これ観てやっぱ映画好きってのと、私が今形にしたいと思ってるものは多分間違ってないんだなと思えました。

まず観る前の印象と実際に観た後の印象は全く違いました。多分これは邦題がよろしくない苦笑
華麗なる大逆転なんてついちゃってるからてっきり最下層、最貧の人たちが人生最大の賭けを信じ続けた結果、超リッチになる話なのかと思ってしまった。
リッチになるってのはあってるかもしれないけど、でもこの映画はそういうサクセスストーリーのカタルシスとかエンタメに振ってるんじゃなくて、勝者がいれば敗者がいるっていう苦い真実をつきつけてくる感じ。しかもそれがいい感じに考えさせてくれるというか何というか…
で、今感想を忘備録的につらつらと書いているわけなんですが、これを書くために監督や脚本家を調べて納得。「バイス」も「スキャンダル」もまだ観れてないけどすごく気になってるし、多分社会に向けての痛烈なメッセージになってると思うから、多分ここから始まった流れなんじゃないか…と。

で、今作の話に戻るんですが、今作はたぶん実話というのもあってドキュメンタリー風に撮られてるんですよね。カメラの揺れだったり、ピントの合わせ方がリアル感を醸し出してる。でも入り込み始めるとたまに登場人物がこっちに向かって話しかけてくるので、映画のフィクション性を突きつけてくる感じ笑
ちょっと再現ドラマみたいだなと思いました。
特にカットカットがめちゃくちゃ頻繁に切り替わるから、見慣れないと少し疲れるかも。でも観ながら、スパイク・リー監督の短編「ゴアvsブッシュ」を想起しました。あとはその短いカットカットが繋がっていって、イメージを膨らませていくので、これがモンタージュか…なんて思ったりして笑
特にスティーブ・カレル演じるマーク・バウムの兄が自殺したときの回想なんてカットの構成の仕方による緊張感の高まりとマークにとってものすごく嫌な記憶なんだと観客に伝える表現には脱帽。
ただ、重要なシーンはしっかり長回しで緊張感を保ってくるから、俳優陣の演技も含め、上手いなあと思いました。

ストーリーについて。前述の通り、ものすごく劇的な展開を想像してしまったのだけど、ある意味とても淡々としていて、それがすごいなと思ってしまいました。だって多分こういう話って劇的にしたくなっちゃうもん笑
でも淡々と進んでいく中でもちゃんとハラハラできるし、集中して観れるんだよね。それが脚本の構成と演出の凄さだと思う。
だってあんなに意味わかんない専門用語バンバン出てきてんのになんとなくわかるもん起こってることが。確かにその難しさを説明するための説明シーンは結構たくさんあるなって印象だったけど、そのタイミングとかが丁度頭にはてなマークが浮かぶときだから、ものすごく有難い。この映画はそういう説明がないと全然ついていけなくなって観れないと思う笑 
でもこれをきっかけに、業界用語とか経済のこととか、もっと勉強してもう一回観たら、またもっと面白いんだろうなあ!
それから、物語とすごく距離を置いている感じで、その距離感だったり視点の多様さが当時起こった世界金融の破綻をリアルに描き出してたなぁと思います。
だから世界の三角形の構図は人間が生まれたときから変わらないという残酷な真理だったり、無知ほど恐ろしいものはないっていうことだったりがすごくわかりやすく伝わってきたと思う。
これ観たあとは勉強ちゃんとやらな怖いなって思える笑

全体的に私の好きなテイストの映画で、とにかく脚本、演出が上手いなと思ってしまいました。
ただ、もう一回ぐらい観たいな。多分、今言葉にできてないことが物凄くたくさんある。
なんか引っかかるのに言葉にできないときは本当に何かある時なんだなって最近思うので保留にしてじっくり考えます笑

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