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42歳スタートの不妊治療

彼とは、今年2022年に入り「今年はどうしようか?」という話の中で、「妊活クリニック通ってみようかな」という話になった。

もちろん、去年のちょうど今と同じ頃、41歳の時も、妊娠していた。自分でもたまげるけど、その時は生粋の自然妊娠。だけど、その時は、悲しくも、結果、10wで流産してしまった。

その出来事を通して、まさか、自分が妊娠できるなんて!という、着床して受胎可能な体であることの驚き(もう無理だと思っていたから)、そして高齢妊娠の流産率の高さにもゾッとし、いよいよ彼と結婚するなら、絶対に不妊治療が必要だろうなと感じた1年だった。

ただ、私が41歳で自然妊娠したことに、彼も私も妙な自信がついてしまい、「避妊しててできたんだから、今後は、避妊しなかったら、また、すぐできるんじゃない?」と、淡い期待を抱いていた。そして、彼も離婚直後というタイミングだし、まぁ”授かりもの”ということもあるし、ということで、生理アプリを見ながらタイミング法を取っていた。

しかし、そうして季節が一巡してしまったからこそ、正月の抱負としてなんとなく「まだ入籍していないけど、不妊クリニック行ってみようかな。」と言ってみたら、彼も「そうだね。行こう!」と言ってくれ、サクサク、近所で不妊治療をやっているクリニックを探して正月明けに予約をして、二人で来院した。

不妊治療と言われても、「人工授精」「体外授精」「顕微授精」のワードは聞いたことがあっても、それぞれどんな治療を指して、どんなステップで、どんだけお金がかかるのか、さっぱり理解してなく、二人とも、そこからレクチャーを受けることになった。

細かい説明を聞いて、組み合わせが複雑だったりその時の状態によって分岐がたくさん分かれることは理解したが、結局、費用がどれだけマックスかかるのか分からず、「もしフルフルの場合で1周期でいくらなんですか?」

「顕微授精で、フルフルでやるなら1周期で約90万ですね!」

と聞いて、私も彼もたまげた!二人とも唾をゴクンと飲み込んだ。

世間で、不妊治療で金がかかると言われているのは、これか!と。『高級車が買えるぐらい』とかよくいうけど、そんな大袈裟なと思っていたが、そりゃ、90万を繰り返し1年以上もやってたらそりゃ、そうなるわな…。

そして、しかも必ず成功するとは限らない。どこかで見切りをつける必要もある。それが、なんとも辛い。まさしく、ゴールのないレース。

私も彼も、その現実を知り、これは、人生でそう多くない、”覚悟を決める時”なんだと、悟った。

院長先生は、私の年齢的にも、人工授精に時間をかけるよりも、早めにステップアップして、すぐに顕微をやった方がいいと勧められた。

私も、彼も、子供が欲しい。だけど、現実としてこんなにお金がかかってしまうことに、正直躊躇した。ひとまずは、諸々の検査を進めながら、今後の方針を決めることにした。

家に帰って、二人でいくら集められるか会議をした。彼は離婚の慰謝料が重くのしかかったり、株投資を今のタイミングで切り崩させるのは勿体無く、大金をすぐに用意できるような状況ではなかったけど、スプレッドシートで帳票を作り、6月ぐらいまでに200万までなら用意できそうという皮算用を用意してくれた。

元はと言えば、高齢の私のこの体に原因があることだし、彼にばかりお金の負担をお願いすることも忍びなく、自分のお金プラス、実家の母にも電話で相談し、いざとなれば、まとまったお金を都度支援してもらえそう。私も多分…300万ぐらい?

二人で500万あれば、1周期マックス90万でも、5回はトライできる!とはいえ、フルフル90万もかからない周期もあると考えれば、補助金適用の43歳まで、なんとか行けるんじゃないか??(この時、4月からの保険適用を分かってなかった。)

金がないなら、他からでもかき集め、今必要な時に、全力で燃料をぶっこむ。

本当に足りないなら、彼も、実家に追加で借りれないかを検討したり、兄弟からでも、親友からでも借りてみると言ってくれた。とても嬉しかった。

「今、お金がないからって不妊治療を諦めて、後でお金があっても、全くお金の意味がないよ。まだ可能性あるんだから、絶対、妥協したり諦めたりしたら、一生後悔するよね。」

ということで、ひとまず、クリニック初月1月は人工授精で済ませて、2月以降で顕微授精に挑もう!ということで、その方針をクリニックに伝えた。


そう覚悟を決めて挑んだ、初めての人工授精(AIH)。

2回目の受診の時から処方されたクロミッドを服用し、卵子を育てながら、生理後5日に再診。排卵の大きさを確認され、私は1つが確実、2つ目もあるかなぁという感じ。後で調べてわかったけど、若い年齢なら、10個ぐらいあるそうだ。知らなかったので、その時は大して落胆もしていなかった。そして、排卵促進の注射を打ち、「人工授精は明後日・金曜日の午前中に来てください。」と言われた。

え、え、ちょっと待ってください。その日は、仕事で自分オーナーのMTGがあり、抜・け・ら・れ・な・い。(これか、これが不妊治療で仕事の都合がつかなくなって職場に迷惑かけるというやつか〜)と、ド頭から洗礼を受けた。

急に来るんだな。ちょっと前に知ってたら、わざわざ、この時期、そしてこの時間にMTG入れんかったわ〜。ある程度調整もできるのに、悔しい。

私もだし、もちろん、彼にもその場で連絡をとったけど、無理なスケジュールだった。

そしたら、苦悩している私をみて、看護師さんが「ちょっと調整してみますね」といわれ、しばらくすると「じゃ、土曜日の朝はいかがですか?」と調整していただいた。

ただ、自分で言っておきながらだけど、排卵のタイミングを勘案して金曜日なのに、土曜日にすることで、排卵してしまった後になったりしないだろうか…。と聞いてみたら

看護師さんは、「土曜日の朝までだったら、排卵誘発剤の効果のある時間内なので、間に合うと思います!」と言ってくれた。

そのメカニズムがいまいち理解はできなかったが、一旦は、その言葉を信じることにした。

私の周期は、最近の平均は29日周期。今回の場合なら29日周期の読みにあたる日に当てているようだけど、今月期も、それであっているのかな?

過去に31日だったり27日だったりしたこともある。まぁ、子宮内膜の状況を見て、判断してくれたことを、まずは信頼することにした。

当日、彼がナイーブな形で精子が取れなかったらどうしようという心配は、少しもなかった。この点は、本当に彼に感謝。

彼は、いそいそと人体実験に参加する喜びと、「こういう形でも俺の精子がよよちにぶち込まれると考えたら、それだけでも萌える!イッタ!」と変態チックな性癖を覗かせながら、楽しんで取り組んでくれた。もう1回やらせてもらえたら、もっとたくさん出せる自信がある!と、彼なりの要領を得たようだった。

常温で持ってこいと言われていたけど、こんな寒い季節の常温なんて、何度が適温かわからない。冷たいカラのリュックにそのまま入れる気にならなかった。元々体内に放出されたものだと思い、暖かいままのお布団に直前まで温存し、クリニックまでは、自分の肌と下着の間に挟み込んで、ダウンを着て自転車で移動し、受付で差し出した。

その後1時間後に、彼も一緒に再度クリニックに行きその時を待った。受付で、注洗浄後の彼の精子数値の紙をもらい待つ間、いずれの数値もクリニックの平均よりもすこぶる数値が良好で、二人で「クソワロ」と、笑ってしまった。

間も無く呼ばれ、精鋭揃いの精子君たちを、いよいよ注入してもらうことになった。

特に痛くもなく、あっという間だった。「あれ?もうおわりですか?」

一部始終を見ていた彼に感想を聞くと、「思っていた以上に、台が上に上がっていった。そのまま上がって、天井突き破るんじゃないかと思った。」

あぁ〜、あれね。確かにね、上がるよね〜。…っておい!笑かすな。

そうして、その日一週間後に再診、その日から黄体ホルモン様のルトラールという薬を処方された。高温期をキープし、着床しやすい、妊娠が維持しやすい様にサポートしてくれるみたいだ。うまくいってれば着床をし始めた頃かな。

次の診察で、リセットし生理がきたら生理中の検診予約、もし、生理が来なかったら、自分で妊娠検査薬を使って”陽性”だったら「妊娠中」で検診予約をしてくださいねと、案内を受けた。

検査も諸々していたので、ここまでの金額は、私の場合、AIHの2万を含めると、初月は6万ほど支払った。保険適用だったり、自由診療だったりの組み合わせでこれだ。

人工授精の確率は、自然妊娠とさほど変わらないらしい。平均的な統計で、20%程度、ましてや40代だと、多分1桁ぐらいじゃないか。いろんな統計や数値があるけど、結論、40代で人工授精は率が低いので早くステップアップするに限るという主張の話ばかり。

多分受精しないと思うので、2月の顕微授精に向かって、動画や検索をしまくった。

「これで、ちゃんと受精してたら、本当にウケるよね。」と淡い期待を持ちつつ、お金の工面を必死で考えていた。

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