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混同の問題を図式化 短答過去問イラスト解説

先日のイラストワークショップの質疑応答の時間に、混同の問題の図式化がうまくできないとのお悩みをうかがいました。(イラストワークショップのアーカイブはこちら⬆️)

令和4年司法試験第7問 
物権の混同に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、 後記1から5までのうちどれか。なお、次のアからオまでの各記述中の抵当権及び地上権は、いずれも登記がされているものとする。
ア.Aが、その所有する甲土地に、Bのために第一順位の抵当権を、Cのために第二順位の抵当権をそれぞれ設定していた場合において、BがAから甲土地を買い受けたときは、Bの抵当権 は消滅する。
イ.Aがその所有する甲土地にBのために地上権を設定し、Bがこの地上権にCのために抵当権 を設定していた場合において、Aが死亡し、BがAを単独相続したときは、Bの地上権は消滅 する。
ウ.Aがその所有する甲土地にB社のために地上権を設定し、B社がこの地上権にC社のために抵当権を設定していた場合において、B社とC社が合併したときは、C社の抵当権は消滅する。
エ.Aが、その所有する甲土地に、Bのために抵当権を設定した後、Cのために地上権を設定していた場合において、CがAから甲土地の所有権の譲渡を受けたときは、Cの地上権は消滅する。
オ.Aがその所有する甲土地にBのために地上権を設定し、Bが甲土地上に建築した乙建物をCに賃貸していた場合において、Aが死亡し、BがAを単独相続したときは、Bの地上権は消滅 する。
1.ア イ      2.ア オ   3.イ エ     4.ウ エ     5.ウ オ

今回、私も問題をといてみました。
その過程で、ざっと書いた図はこんな感じです。

答は1だったので、正解しました。よかったです。

根拠条文
第百七十九条 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 前二項の規定は、占有権については、適用しない。

普段問題を解くときには、こんな感じでざっと書いています(試験本番は時間との兼ね合いもあるので、図を書かないことも多いです。)

ざっとした図だけではさみしいので、イラスト解説を作ってみました。

ア.Aが、その所有する甲土地に、Bのために第一順位の抵当権を、Cのために第二順位の抵当権をそれぞれ設定していた場合において、BがAから甲土地を買い受けたときは、Bの抵当権は消滅する。
答 ☓

第百七十九条 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

イ.Aがその所有する甲土地にBのために地上権を設定し、Bがこの地上権にCのために抵当権を設定していた場合において、Aが死亡し、BがAを単独相続したときは、Bの地上権は消滅 する。
答☓ 

第百七十九条 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

ウ.Aがその所有する甲土地にB社のために地上権を設定し、B社がこの地上権にC社のために抵当権を設定していた場合において、B社とC社が合併したときは、C社の抵当権は消滅する。
答 ○

179条2項本文 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。


エ.Aが、その所有する甲土地に、Bのために抵当権を設定した後、Cのために地上権を設定していた場合において、CがAから甲土地の所有権の譲渡を受けたときは、Cの地上権は消滅する。
答○

第百七十九条一項本文 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。

オ.Aがその所有する甲土地にBのために地上権を設定し、Bが甲土地上に建築した乙建物をC に賃貸していた場合において、Aが死亡し、BがAを単独相続したときは、Bの地上権は消滅する。
答○

第百七十九条一項本文 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。

次回イラストワークショップは10月26日木 
午前11時00分〜(本編約30分+質疑応答)です。
扱う問題は前回と同じです。
質疑応答を交え進めていきます。

前回参加された方も参加可能です。
申込はこちら↓





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