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添削サンプルとレビュー

添削サポート受講中の方に了承をもらい、添削コメントの一部を公開することにしました。
ご感想も頂いたので、あわせて掲載します。

添削サポートのレビュー

・予備試験の勉強を数年してきたが、今が一番充実している。添削コメントをもらうことが、答案作成をするモチベーションになっている。

・答案を書くことが大事だとはよく耳にしていたが、実際に書き始めてみて、やっとその意味がわかった。合格するために進んでいる感じがしている。

・誤字脱字について、一言一句隅々までチェックが入る細やかさがある。

・知識が不足している箇所について、判例や基本書の情報もアナウンスしてくれるので、役立っている。

添削コメントサンプル

令和4年予備民法設問1のみ 

【1頁目】
・2行目
 民法の答案では、まず請求の根拠を明示することからスタートすると書きやすいです。この部分がないと、なにについて論じているのか読み進めないと判断できないためです。
 <一例>「BはAに対し、契約不適合責任があるとして報酬の減額請求(559条、632条、563条1項、562条1項)をしていると考えられる 。」

・2行目から10行目
 この間全く条文の引用がないことが気になりました。民法の答案作成の際は、条文の要件全てを検討していくことが必要になります。

 また、この部分の記載からは、どの条文のどの要件について論じているのかが読み取りづらかったです。民法答案は、「条文の文言→解釈(解釈が不要なもの除く)→あてはめ」の繰り返しをしながら論じていくと読みやすくなると思います。

・11行目
 636条は、請負人の不適合責任を制限する規定です。不適合責任について論じていらっしゃるので、条文番号は、559条、632条、562条1項と記載するほうがいいと考えます。

・19行目から20行目
 9行目と10行目の記載が矛盾するようにも読めました。不適合があると考えていらっしゃるのか、そうでないと考えていらっしゃるのかが、わかりにくいと感じました。

・21行目2ページ目5行目
 20行目で「種類品質において劣っているとはいえない」とされていますが、そうであれば、そもそも「前条一項本文に規定する場合」(563条1項)にあたらないのではないでしょうか。その場合、当然代金減額請求権が発生しないため、代金減額請求の趣旨について論じる必要もないと考えます。

 また、価値が減少していない以上、代金減額請求が認められないというのは、不正確ではないでしょうか。当事者がどのような合意をしていたか?という面から不適合の有無を論じる必要があるかと考えます。

【2頁目】
・7行目から10行目
 おおむねいいと思いますが、415条の1項にあたるのか2項にあたるのかを明示する必要があります。

・12行目、17行目
 12行目では415条1項、17行目では415条2項2号が明示されているため、論理矛盾が生じていると感じました。
 本問は、追完請求をすることなく直ちに履行に代わる損害賠償請求を行うことができるのかが問われている事案であると考えます。

・21行目から22行目
 いいと思います。

【総評】
答案作成お疲れさまでした。
民法は条文の要件検討の丁寧さで差が付く科目です。そのため、どの条文のどの文言の検討をしているのか?を意識したうえで答案作成されると、さらに読みやすくなると感じました。ひとつひとつの文章自体は読みやすく、一読して書いてあることをすっと理解することができました。書き方さえ一回身に着けてしまえば、かなりの起案力アップにつながると思います。

令和4年予備刑法設問1のみ

【1頁目】

・5行目から8行目
 ①②はいいと思います。間接正犯の実行行為性の規範をたてるときは①②を指摘するのが一般的かと思います。③まで書かれているので、実行行為性の規範と実行の着手時期をごちゃまぜにしているような印象を受けました。
 もし、③が実行の着手時期の規範なのであれば、少し不十分であるように思います。どの説にたっているのかが不明確だからです。

・9行目から15行目
 おおむねいいと思います。間接正犯における正犯意思は、他人を自己の犯罪実現のための道具として利用する意思であるため、もっと直接的な事情である「ぶどうを家族で食べるつもりだったこと」を摘示すると、より伝えたいことが明確に伝わると思います。

・16行目から22行目
 規範とあてはめが一致している点、反対事情も考慮されている点、とてもいいと思います。

【2頁目】
・1行目から3行目
 果物売り場にたどり着いていないので、実行の着手を否定するのが自然であるように思います。肯定するのであれば、なぜスーパーに入る時点で結果発生の現実的危険性がある行為といえるのか、もう一言説明があるといいと思います。

・7行目から8行目
 いいと思います。

・10行目から18行目 
 いいと思います。

・19行目から3頁1行目
 いいと思います。

【3頁目】
・7行目 
 「意思連絡に基づき牛肉5パックと写真集」を持ち帰っているとあっさりと認定されていますが、ここはしっかりと論じる必要があると考えます。共謀の射程が問題になりますので、当初の共謀(牛肉2パック窃取)と実行行為(5パックと写真集)の間に因果性があるのかを論じることになります。共謀の射程は頻出ですので、基本書等で復習されることをおすすめします。

・9行目
 問題の中の会話文で「3000円くらいのやつ」と書かれてはいますが、会話文以外の場所では「3000円くらいのもの」等の表現がいいかと思います。また、前述のとおり故意について論じる前に、まずは共謀の射程が及ぶか?を検討する必要があります。共謀の射程が及ぶとした場合において、共謀者の故意と発生した結果の間に不一致があれば、共犯の錯誤の問題となります。

・9行目から15行目
 いいと思います。

・12行目
 「故意認められる」とありますが、「が」が抜けています。

・16行目
 雑誌の窃盗も牛肉の窃盗も同一構成要件内ですので、たてた規範と矛盾するように読めます。雑誌について、窃盗罪の成立を否定するのであれば、雑誌については共謀の射程を否定して、故意については論じないという流れが書きやすかったように思います。

・18行目
 いいと思います。

【総評】
起案お疲れさまでした。
他の科目と比べ、型が安定しているように感じました。また、設問1は、論ずべきことをおおむね論じていらっしゃいました。
引き続きこの調子で進めてください。

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