もう、西洋医学、東洋医学と対立で考える時代ではない。

西洋医学と東洋医学の違いを、「西洋医学は部位を細かく分析するのに対して、東洋医学は人を全体的に見る」 と、話すことがあります。

ただ、今のお医者さん達の本を読んだりすると、むしろ、東洋医学の方が自分たちの考え方の世界だけで見て、大切な事を見逃していることがないかと思います。

『新しい医療のかたちへ いのちは のちの いのちへ」を読んで、ますますそのように感じました。

作者の稲葉俊郎医師は西洋医学だけでなく、伝統医療や民間医療だけでなく、芸術などにも見識が深い方です。

そんな見識の深さがあるからこそ書けた本だと思いますし、他の医師、全てが同じような考え方をしているとも思えません。
でも、この本のような考え方は多くの医師や社会へと広がります。

そうなると、今までのような、西洋医学、東洋医学の対立構造はなくなり、互いの長所を活かし合う医療となっていくでしょう。

この考え方の中心になるのは、病気や患部という部位ではなく、「いのち」そのもの。
デカルト以降の「こころ」と「からだ」を分けるのではなく、互いに影響することを前提とします。

だからこそ、医療の担い手は、医師などの医療関係者だけではなく、患者はもちろん、家族やそれこそ街全体へと広がります。

誰かが育てた庭先の花を見て気持ちがほころんだり、映画のポスターを見て前向きな気持ちになったり、そんな経験があると思います。
また、好物の温かな食べ物を口に入れた時、気分も体も温かくなったり、馴染みの店で店員さんからのたわいもない会話がうれしかったりすることもあります。

「いのち」という視点に立つと、これらのようなこと全てが健康を支える力となります。

でも、病になると、「からだ」が閉じて、このようなものを感じる力が弱くなります。

だから、薬で痛みを軽くしたり、体の負担を軽くしたり、鍼灸やマッサージなどで体の巡りを良くしてあげる必要があります。
また、「からだ」の感受性を高めるには、感じる力を育むことも大切です。
鍼灸やマッサージを受けていると、ここが温かくなったとか、気持ちいいなどと自然と意識が体に向き合います。また、美術や芸術、音楽は心の動きを感じるためには役に立ちます。

今「1% for Art」という発想の元、学校や病院をつくり際に、建築などにかかる費用の1%をアートのために使うように海外では進んでいます。無機質な学校や病院ではなく、そのなかにアートを取り入れることにより、心が安らぎ和らぐだけでなく、創造力や未知なる力を生みだす働きがあります。

従来のように、ただ体にいいから、ストレスにいいからと言う考え方から離れて、「こころ」や「からだ」の軸をズレという視点も大切です。
「こころ」や「からだ」の感受性が育むと、自ずと心や体の軸のズレに気がつきやすくなり。
ズレに気がついたら、それを修正するように調える事が出来ますので、悪化させることがすくなくなります。

この本を読んでいますと、これらのように「いのち」について新たな考え方、見方を知ることができ、自分がどのように応じればいいかを考えるきっかけになります。




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