関西演劇祭2022 幻灯劇場/劇団イロモンスターを観に行った
11月19日11時開演の幻灯劇場と劇団イロモンスターの回を観劇しました。簡単ながら記録として残しておきます。
観劇に行くまで
まず、私は演劇に関して全くの素人です。そもそも共感性羞恥が酷いので、ドラマや映画などの“人がお芝居をしている”作品を見るのがとてもしんどいというのが根底にあります。さんま御殿の30秒再現ドラマも見れないレベルです。それでもファンタジーやSFなど、日常生活とはかけ離れた設定であれば最近観れるようになりました。どうやら日常で起こりそうな理不尽だったり気まずい空気感だったりが、必要以上に私の心に留まって不安に駆られるのがいけないようです。
なので、私は非日常に楽しく入っていけるお笑いの舞台が好きです。コントでリアリティを売りにしているネタは見るのはしんどいですが、漫才や新喜劇などは子供の頃からテレビで見てきたので楽しく見ています。
劇場配信などを見ている中で、私は「劇団イロモンスター」の存在を知り、お笑いに寄せたものならお芝居を観れるかもしれないと思いました。これまでよしもと漫才劇場であった3公演を配信で観劇し、これなら大丈夫だと自信が持てた頃、この関西演劇祭に劇団イロモンスターが出演されると知り、生で観劇したいとまで思うようになりました。
ここからは観劇した感想になります。少々ネタバレを含みます。
幻灯劇場『0番地』
私は演劇を観るのはほぼ初めてです。普段見ているお笑いの舞台とはまた違う雰囲気に少し緊張してしまう中、開演しました。
「バンチ」と呼ばれる民族が、労働力として日本に連行されてきてから随分経った時代に残る差別問題を通して、さまざまなシーンの人間模様が次第に交差するといった内容でした。最初の方は各シーンの繋がりがなく、並行して進んでいくのでついていくのが大変でしたが、後半になるにつれてテンポ感が上がり、登場人物たちの交流が活発に行われます。これまで残してきた伏線を綺麗に回収しつつも、最後の場面は余白を残すような構成でとても印象的でした。
私はこの公演の少し前、島崎藤村の『破戒』を読み終えていました。『破戒』は日本人の中の被差別部落に生まれた主人公を軸に、その生まれをカミングアウトするか否かの葛藤が描写された作品なのですが、今回の『0番地』と作品テーマの類似性と内容の対称性が興味深く、時折2つの違いを発見しながら観劇させてもらいました。終演後のティーチインで類似テーマの他作品を参照されたのかきいてみたかったのですが、いかんせん私は演劇については本当に何も知らない人間なので、そんなやつが質問なんてできるのかと思っているうちに終わってしまいました。すごく後悔しています。
劇団イロモンスター『感情のないあっきー』
こちらは前に公演されてた1時間版を観ているので、大筋の流れは知っている状態で始まったのですが、目の前にはよく漫才で見るサンパチマイクが置かれていました。そこから始まる感情のないあっきーと感情豊かな園長の漫才で、一気にイロモンスターの世界に入っていきました。身寄りのない子供たちを幸福から絶望に突き落とすデスゲーム、闇コーナーは普段やっている遊びが、人の生死をかけた恐ろしいものへ変わるギャップがとても良かったです。恐ろしい事態の合間に挟まる客寄せパンダショーが良い清涼剤となりました。
45分に短くなったことで物語がどう変化するのかと考えていましたが、運営側の2人やパンダと子供たちの設定が追加されており、短くなりながらも、濃い内容になっていたと思います。そして感情溢れる子供たちの声に混じって、主演であるあっきーの抑揚のない主張が増えていたことが嬉しかったです。園長と漫才したり、配信されていると知ってカメラに向かって手を振る仕草をするなど、楽しいことが好きなお茶目で肝が据わっている性格なのでしょう。感情があったらきっといい笑顔でいえーい見てるー?とか言いそうです。
いろいろ書きましたが、総評すると、生で観に行って本当に良かったです。45分という短い間でしたが、私個人としてはこのくらいの長さがちょうど良さそうです。連続で見るのはやはりしんどいので。
関西演劇祭が来年も開催されることになったら、今度は他の劇団の公演もチェックしてみようと思います。少しは人のお芝居に対するハードルが下がったかなと思います。
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