ジョージ・オーウェルの名を見て

先日ネットサーフィン(死語)をしていたところ、記事の中でジョージ・オーウェルの名前を見つけた。
私も以前オーウェルを記事に書いたが、今日はその続きみたいな内容にしようと思う。
せっかくだから記事も見出し機能を使ってみよう。
まぁ、wikiを読めばよいのだが。


ジョージ・オーウェル

本名 エリック・アーサー・ブレア(1903~1950)
出自ははイギリス領インド・ベンガル州のイギリス人、父親はインドでアヘン局に勤務していた。

1歳の頃にイギリスに行った後は、パブリックスクールのイートン・カレッジに入学する。本人にはあまり良い記憶はないと書いている。

卒業後はイギリスに嫌気がさして出生地であるインド警察に就職する。
インドといっても現在のビルマ(現ミャンマー)・マレンダーである。当時ビルマはイギリス領インドに属していた。

そこで5年間勤務するが、イギリス帝国主義に嫌気がさしイギリスへ戻る。
この頃、資本主義や権威主義的な体制に反感を持ち始めたようだ。
彼はその後、社会主義者になる。

帰国後はかねてよりやりたかった仕事である、物書きとしてのキャリアを始める。最初は友人の薦めでルポルタージュを書き始める。
この時、パリやイギリスの底辺層の中に入り社会的弱者の生活を体験する。これはビルマ時代に見た、支配者(ヨーロッパ人)と被支配者(植民地人)の差別などの影響か。

1939年になるとスペインで内戦が起きたこと知り、フリーの記者として当地へ向かう。現地の革命熱に当てられて兵士として戦う事を望み、知人の紹介で反ファシズム陣営で義勇兵となる。ファシズム、国家主義への抵抗としていてもたってもいられなくなったらしい。

彼の所属した王制転覆後の反ファシズム陣営は左翼系組織の寄り合い所帯で共産主義者、社会主義者、無政府主義者などの烏合の衆であった。
彼が所属したのはPOUM(マルクス主義統一労働者党)という社会主義系団体だった。
オーウェル自身は熱心なマルクス主義者というわけではない。たまたま紹介されたところがPOUMだったそうだ。彼はそこで共産主義者のスターリニズムに直面する。

カタロニア戦線で瀕死の重傷(敵に喉を撃ち抜かれる)を負い、スペインを後にする。帰国後はBBCに入社したり新聞の文芸担当をしたりしながらエッセイや書評を書く。

晩年は結核にかかりスコットランド・ジュラ島(辺鄙な田舎)に引きこもるが、病状が悪化し肺動脈破裂により47歳の若さで生涯を閉じる。


エッセイ・書評

オーウェルは日本では小説家として有名だが、かなりの量のエッセイ・書評を書いている。全てを網羅した作品集はないようだけど。
邦訳でも岩波や中公、光文、平凡などから選集が出ている。
これを書いているときに中公より新刊が出ていることを知ったのでポチった。
内容の半分は読んだことあるけど、半分は未読だから。

個人的には平凡社ライブラリーから出ている評論集を読みたいのだが、プレミア価格が付いていて手が出ない。
図書館で読めとも言われるが、近場の図書館に置いていないので諦めている。
再版しねぇかな。


ルポルタージュ

作品としては三作ある。
・パリ・ロンドン放浪記
・ウィガン波止場への道
・カタロニア賛歌

・パリ・ロンドン放浪記

これは著者がパリの底辺層として、パリにあるホテルのレストランで下働きをした内容で、ロンドンの方は浮浪者とともに簡易宿泊所(ドヤ街)やスパイク(浮浪者を泊める施設)を渡り歩いた記録である。
この本は読ませる。流石後世に名前の残る作家!と思ったが、どうやら掲載目的で”盛って”いるらしい。どういうことかというと、かなりの極貧生活で日銭に困る描写が連続するが、実際にはたまに家に帰ったり調査で聞いた話を寄せ集めて一つの作品にしたようだ。
だから書かれていること全てが体験した実話というわけではないようだ。筆力は流石だが。
パリ時代の「シェフが唾を入れないのは自分のスープだけである」という文は最高だった。

・ウィガン波止場への道

これは記事にするため調査費を貰い、イングランド北部ウィガンの炭鉱へ行った話である。内容は炭鉱労働者の悲惨な生活や極まった貧困を書いている。
この本はオーウェル作品で一番読みにくかった。文章ではなく内容がきつい。前半は現地での調査記録なのだが、後半になると政治への批判や思想の話になる。好きな人には好いだろうが、単純なルポと思って読んでたら説教じみた著者の思想を開陳されて辟易とまではいかないが、50年以上前のイギリスの格差を延々述べられても参ってしまう。
当時は価値があったかもしれないが、今ただの読者として読むと、読み物としてきつい。

・カタロニア賛歌

これは面白い。
好きすぎて、本の内容を軽く触れようと書いていたら1000字を越えたので別に記事にすることにした。
年末の休みを利用して、もう一度読み直して書こう。

内容はオーウェルが義勇兵として参加したスペイン内戦についてである。
ルポというより回顧録といった感じである。このときの共産主義者(スターリニズム)による左翼系組織の内ゲバの経験が、全体主義への憎悪となり動物農場、1984年を書かせる。
彼がファシズムだけでなく、共産主義(スターリニズム)からくる全体主義に嫌悪というか憎悪を覚えた経験が克明に描写される。

前半部分の長閑な塹壕生活、一気に緊張が走る攻撃行動、こんな時に?と不意に訪れる戦場のリアル、これも読みごたえがかなりある。
オーウェルは敵の狙撃によって喉を撃ち抜かれ生死を彷徨う。その心境の描写は一読である。


小説

オーウェルの小説は六作品になる。
・ビルマの日々
・牧師の娘
・葉蘭をそよがせよ
・空気をもとめて
・動物農場
・1984年

動物農場と1984年以外は小説好きでも、オーウェルに関心のある人しか読んでいないのではないか。
実際、あまり高い評価を耳にしない。私は評論できるほど本を読んでいないのでわからないが、まぁオーウェル評論の中でしか目にしないと思う。

私が読んだのは「ビルマの日々」、「動物農場」、「1984年」だけである。
後者2作は読んだことのある人は多いので、コレといって書くことはない。

・ビルマの日々

この本は彼自身が「あの頃のことを書かずには先に進めない」と語ったらしく、小説家として彼にとってのイニシエーションだったのだろう。

ビルマの日々は、支社の現地担当者としてビルマ奥地に派遣された自己肯定感皆無のイギリス人青年が、当地で出会ったイギリス人女性に恋をし、紆余曲折して爆発四散する物語である。
細かい部分は記事が長くなりすぎるし、完全なネタバレになるので今回は避ける。

私はジョージ・オーウェルを知ったうえで読んだので、そこそこ楽しく読めたが、なんの前知識もなく読んだら退屈で中身のない読書になるかもしれない。そんな作品だ。
エッセイの「象を撃つ」と「絞首刑」を読んでから読むと良い。

彼自身は「ビルマの日々は思い出の作品だが、それ以外の小説は(動物農場、1984年は除く)忘れたい駄作だ」と言っていたそうだ。
まだ読んでいないので私には判断がつかない。


終わり

私は英語が全くダメなので、オーウェル作品は邦訳したものしか読めない。
彼の作品はおおむね和訳されているが、ことに小説は動物農場と1984年以外絶版状態だ。
晶文社から「オーウェル・小説コレクション」が出ているのが、絶版でプレミア価格である。図書館といわれても近くの図書館には…
「ビルマの日々」はなぜか電書になっていたので読むことができた。「ウィガン波止場への道」(ちくま学芸文庫)も電書で読んだ。

4作目の「空気をもとめて」は私好みっぽい内容なので、いつか読もうと思っている。
小説コレクション、再版されねぇかなぁ。

自分の中でもまとまっていない状態でオーウェル記事を書いてみた。
まぁ、オーウェルをまとめようと思ったら一冊の本になるので仕方ないか。今回の記事は下記の本を読めば忘れても問題ない。


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