二人だけの革命前夜 上
ネオンが輝く夜の街
ぎこちなさを必死に隠しながら
彼女は足を踏み入れる
ひかる:わぁ…すごい…
初めての景色に思わず
「綺麗だ」と
純粋なその心で
男:ありゃ〜?子供がこんなとこ来ちゃダメだよ〜
ひかる:っ!?
見知らぬ男に後ろから肩を抱かれる
怖い…いやだ…やめて…
だけど、受け入れなくちゃ
借金を返さないと…
男:見た感じ高校生だよね〜
ひかる:は、はい…
男:ふふ、大丈夫だよ…俺は優しいから
男:そうだな〜5でどう?
ひかる:ご、5万ってことですか…?
男:うん
ひかる:…わ、わかりました
すぐそこのホテルへと
部屋に入るといきなり
ベットへ押し倒された
ひかる:きゃっ!?
男:あーかわいいね〜///
男は私に覆い被さり
慣れた手つきで……
ひかる:っ…!い、いやっ…
男:あぁ///いい匂いだ〜
これもお金のため…
自分にそう言い聞かせる
あれ?泣いてる…
覚悟したはずなのに
やっぱりさ
ひかる:いやっ!!!
男:っ!?
ばちんっ!と乾いた音が響く
時が止まったようだった
状況がよく飲み込めなかった
ひかる:あっ……
男:……何すんだよ!ガキが!
まずい
逃げないと
気がつけば駆け出していた
男:おい!待て!
ひかる:はぁ…!んっ……はぁっ…!
走った
ひたすら走った
何度転けた事だろう
だけど止まらない
◇
ひとけのない廃墟ビル
その階段を一歩、また一歩と
気づけば屋上
ひかる:…結局こうなるんだね
歩みを止める事はない
思わず笑ってしまった
ひかる:あっははは!バカみたい…
ひかる:もう私の居場所なんてないや
ひかる:…恵まれたかったな
ひかる:……じゃあね
人生で一度は憧れた
この空へ羽ばたこうとした時
○○:ダメだよ
ひかる:…えっ?
○○:死んじゃダメ
ひかる:…もういいんです
○○:どうして?
ひかる:どうせ生きてたって、私に居場所なんてないですから
○○:居場所ならあるよ
ひかる:ないですよ
○○:僕が君の居場所になる
何を言ってるんだこの人は
私のこと何も知らないくせに
軽々しくそんなこと言わないでよ…
今の私には十分すぎる言葉だった
押さえ込んでいた感情が…
私は見ず知らずの彼に
思わず抱きついてしまった
ひかる:う…ぁ……うぅ…
○○:大丈夫だよ
ひかる:ぁ……うぁぁぁぁあ…!
なぜか彼の言葉は
とても安心してしまうんだ
◇
それから私は話した
両親が多額の借金を残し飛んでしまったこと
体を売ろうとして逃げて来たこと
彼は全てを受け入れてくれた
○○:高校生だよね?
ひかる:そうです
○○;実は僕も
ひかる:え!?そうなの?
時間など忘れて喋り倒した
夜も遅いのに大丈夫なのかな?
ひかる:時間は大丈夫?
○○:あー…気にしなくていいよ
表情が一瞬曇ったように見えたが…
ひかる:そういえばさ…
○○:ん?
ひかる:「僕が君の居場所になる」って言ってたけどさ
○○:あー言ったね
ひかる:そのぉ…///…期待しちゃってもいいのかな?///
○○:……僕でいいの?
ひかる:…いいよ、○○がいい
私にはあなたしかいないから
あなたとなら歩いていける
ひかる:…借金どうしよ
○○:一緒に返していこうよ
ひかる:それは悪いよ…
○○:僕はひかるの彼氏だよ?
ひかる:う、うん///……でも…
○○:乗り越えていこ
なんでもない夜に出会った二人
会うべくして出会った二人
これは
二人だけの
革命前夜だ。
to be continued…
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