Inventor / ダイナミックシミュレーション / 構想設計で活用 (1)
構想設計の時にダイナミックシミュレーションの機能を活用する方法を説明します。
移載装置の構想設計での活用
ここでは、図のような重量物を移載する装置を例にします。
質量1300Kgのエンジンブロックを図のように移載(上昇、水平移動、下降)する機構を設計するという想定です。構想設計段階では、この様なおおまかな仕様をより具体的なレベルに落とし込んでいきます。
片道の行程を4秒で移載する場合、まず、上昇・移動・下降時の速度、その速度を得るために必要な駆動力を求める必要があります。
※ これは簡単な機構なので、手計算でも良いかもしれません。しかし、ダイナミックシミュレーションの機能を使う事で、計算の手間が減るのに加え、条件を変えた時の再計算の手間も減るのがメリットです。
1. 最小構成のアセンブリを作成
入門編でやったように、最小構成のアセンブリを作成します。図は、ベースプレートを固定し、エンジンブロックを拘束した状態です。
2. ダイナミックシミュレーションの環境に移動
この状態から、ダイナミックシミュレーションの環境に移動すると図のようになります。
元のアセンブリモデルが、完全拘束されているからです。説明図のように、平面的に移動させたいので、フラッシュ拘束を1つ残し、残りは省略しておきます。この状態から、ダイナミックシミュレーションの環境にいどうすると、エンジンブロックが可動グループになり、フラッシュ拘束が平面の標準ジョイントに変換されます。
3. 平面のジョイントの初期設定
平面のジョイントのプロパティはこのようになっています。自由度は3(直線2回転1)です。
回転しないので、自由度1(R)をロックします。また、自由度3(T)の位置が、アセンブリ原点から距離になっているので、これが0になるように初期値を設定しておきます。
4. 平面のジョイントの強制モーションの設定
自由度3と自由度2の強制モーションをそれぞれ図のように設定します。
5. シミュレーションの実行
シミュレーションプレーヤーでシミュレーション時間を4秒に設定し、実行します。
※ 逆方向に移動するときは?
ジョイントを選択し、右ボタンでコンテキストメニューを表示、「編集」を実行します。平面、x軸を反転させると、移動の向きが変わります。
6. 速度・駆動力
速度・駆動力は出力グラフから知ることが出来ます。具体的な手順は、次回の記事で説明します。
データセット
シミュレーション実行までのデータセット、223 D51_DS 03 Lift and Traverse 02.iam は以下のファイルにあります。Inventor 2024 バージョンです。
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