20/21EPL第6節 アーセナルvsレスター

結果はご存知の通り1-0でレスターの勝利。アーセナルのホームスタジアムでレスターが勝ったのは47年ぶりだそうだ。歴史的快挙ももちろん素晴らしいが、レスターが強い。シティに圧勝したのは記憶に新しいと思うが、ここまで堅実で勝ち切るサッカーをブレンダンロジャーズ監督がやるとは。ロジャーズがリバプールの監督を務めていた時とはまったく異なるプレースタイルだと感じる。ロジャーズ率いるリバプールは今より攻撃力、得点力こそ同等あるいはそれ以上あったと思うが、守備はひどかった。もちろん当時アリソンやファンダイクのようなワールドクラスの選手がいなかったのはしょうがないが、「取られたら取り返す、倍返しだ」みたいなフットボールをしていた。見ていて楽しかったが、失点が多かったイメージが強い。そのロジャーズ監督が、レスターでは堅守速攻のチーム作りをうまく成功させている。

このスタイルを機能させているのはやはりヴァーディだろう。30代になってなお前への推進力はリーグトップのものがあり、ワンタッチでゴールを決めきる決定力も持ち合わせている。それともう一人。中盤で攻守に走り続けボールを裁くティーレマンスだ。彼のクオリティが抜群に高い。ワンタッチでサイドの裏に味方のタイミングに合わせてスルーパスを蹴ることができ、守備時もさぼらず必ず定位置まで戻る。この仕事っぷりをロジャーズ監督はかなり評価していると思われる。実際、レスターのゴールシーンもこのティーレマンスからだった。ユンデルがジャカの裏を取るタイミングにばっちり合わせてパスを蹴っている。後半の79分にもかかわらずあのパススピード、正確さは素晴らしい。前半こそ、ヴァーディ不在が響いたのか裏への抜け出しもなく、堅い守備網を敷いてアーセナルの攻撃に耐えていたが、ヴァーディがでてからは一気にアーセナルの裏のスペースを狙えるようになってきたのでアーセナルは中盤とDFラインの距離感が前半に比べて広くなってしまった。そのため適切なプレッシングが出来ず守備があまり機能していなかったように感じた。

ガナーズファンに聞きたいことがある。それは今のアーセナルの戦い方についてどう感じているのか。自分の知り合いにもガナーズファンは多いが、みんなエジルやウィルシャー、ロシツキーといった選手がいたときのような魅力的なパスサッカーに惹かれていた。エメリ監督になってアーセナルが崩れかけたが、アルテタ監督が上手く持ち直したように思う。しかしアルテタのサッカーは現実的で真面目。ポゼッションや魅力的なパスよりも守備、そして運動量が求められている。確かに現代フットボールにおいて理にかなっている戦い方だし、一概に悪い戦術とは言えないだろう。ただ、アーセナルのリーグにおけるチーム全体の得点数がライバルチームのトッテナムのソンフンミンの得点数と同じだと揶揄されるほど得点が取れていない。この現状にガナーズファンがどう感じているのか気になるところだ。

レスター戦に関してはいい点と悪い点が一つずつ。いい点は、前半3本ほど見られたダヴィルイスからティアニーへのロングパス。オーバメヤン、サカがサイドに張らず、中に絞ることでカスターニュがマークにつかざるを得なくなり、大外のティアニーがフリーになっていた。前半この形でチャンスを作り出せていたのでアーセナルはここで得点したかったところ。特に、28分30秒のシーン。カスターニュとうまく入れ替わってエリアに侵入したティアニー。クロスがラカゼットに合わず得点にはならなかった。リバプールのロバートソンと同じスコットランド代表で、同じポジションのため比較されるが、ロバートソンであれば浮かさずに低くて速いクロスを選択していただろう。そして悪い点。失点の場面。単純に疑問なのだが、なぜ守備時5バックを取った時にジャカを左のCBに置き、ティアニーを左SBに置いたのだろうか。ジャカはアルテタになってからいいプレーをしているが、足が遅い。ティアニーの方が速い。ガブリエルも決して速くない。途中出場したユンデルは足が速く、ジャカとガブリエルの裏をスピードでぶっちぎるのは難しくなかった。ここの5バックの配置でシティはウォーカーを右のCBに置いていた。ペップの下でコーチを務めていたアルテタにはここを理解してほしかった。

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