横浜国立大学の運営費交付金、少なくない?【前編】

 こんにちは。会長です。今回は、国立大学法人運営費交付金の配分状況に関するデータを分析していきたいと思います。間違いのないように注意を払っていますが、万が一誤り等ありましたら遠慮なくお知らせください。

分析するデータ

第4期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会(第2回)会議資料1-2 『国立大学法人運営費交付金の配分状況』
 令和元年度(2019年度)の国立大学法人運営費交付金予算額、本務教員数、学生数のデータを分析する。

データの概要

表1: 国立大学法人運営費交付金予算額の比(東京大学を100とする)
(出典: 『国立大学法人運営費交付金の配分状況』p1)
表2: 本務教員数の比(東京大学を100とする)
(出典: 『国立大学法人運営費交付金の配分状況』p3)


表3: 学生数の比(東京大学を100とする)
(出典: 『国立大学法人運営費交付金の配分状況』p4)

 横浜国立大学のみ別の色で示した(筆者加工)。横浜国立大学は、運営費交付金予算比、本務教員数比、学生数比の順に10.06、11.67、34.69となっている。大学共同利用機関法人(研究機構)を除いた86大学中の順位は、それぞれ43位、41位、21位となっており、学生数に対して運営費交付金が少ないことが伺える。

詳細分析

 まずは学生数比(表3)を横軸、運営費交付金比(表1)を縦軸として散布図を描いてみる(図1)。

図1: 表3を横軸、表1を縦軸としたときの散布図(筆者作成)

 グラフの左上に行くほど学生数に対して運営費交付金が多いことを、グラフの右下に行くほど運営費交付金が少ないことを表している。学生数比が0となっているのは大学共同利用機関法人(研究機構)である。横浜国立大学(橙色で示した)は右下の方にあり、学生数に対して運営費交付金が少ないことが読み取れる。
 今度は、運営費交付金比/学生数比を算出する。運営費交付金比、学生数比ともに東京大学を100(基準)としているため、東京大学の運営費交付金比/学生数比は1.00となる。つまり、運営費交付金比/学生数比>1.00の大学は東大よりも学生数に対して運営費交付金が多く、1.00未満の大学は運営費交付金が少ないということになる。

表4: 運営費交付金比/学生数比(筆者作成)

 運営費交付金比/学生数比>1.00の多くは医科大や大学院大学といった、学生数の少ない大学が占めている。横浜国立大学0.29でまさかの80位。学生数が近く、医学部もない静岡大学(0.31)よりも低い値となっている。これはどういうことなんだ…

横国の運営費交付金が少ない理由(仮説)

①地域貢献型大学だから

 文部科学省は、2016年度に86の国立大学を3タイプ(卓越タイプ、専門分野タイプ、地域貢献タイプ)に分類したが、横浜国立大学はそのうちの地域貢献タイプに分類されてしまった。これを口実として、運営費交付金が減らされてしまったのではないか。

②学部再編の影響

 横浜国立大学は、2017年度に学部再編が行われ、新たに都市科学部ができたり、教育人間科学部が教育学部に改名、改組されるなどした。この学部再編を口実として、運営費交付金が減らされてしまったのではないか。
 学部再編に関して、都市社会××学科の学科長(私ではない)が書いた都市科学部都市社会共生学科の設立過程に対する批判記事を紹介する。この記事を読んでおけば、都市社会共生学科の問題点を認識することができるだろう。

③???

 3つ目の仮説の紹介と、仮説の検証は後編の記事(2月上旬までに投稿予定)に回すとしよう。後編の方が重要なので、楽しみにしていただけると幸いである。

さいごに

 Discordにて経済記事や書籍の紹介、オンラインミーティングを行っていくので、ぜひ覗いてみてください。また、Twitterでも情報発信を行っていきますので、そちらの方もよろしくお願いします。


参考文献

Benesse『国立大学が「一列」でなくなる! 55校は「地域貢献大」に』, https://benesse.jp/kyouiku/201509/20150918-1.html

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