無口なライオン。#5
お久しぶりです。遠藤さくらです。
昨日から2人1組になって、勧誘と部室の掃除をしています。昨日は私とかっきーが勧誘で、今日は生田先輩と聖来ちゃんが勧誘です。
部室にいないと、もし入部希望の子たちが来ても誰もいなくなっちゃうからっていう理由だけど、小藪先生がいてくれたらいいのに。ぷんぷん。
さくら「よいしょ!も〜生田先輩ったら全然片付けしてないじゃ〜ん。」
遥香「昨日は聖来ちゃんとずっと喋ってたって言ってたもんね〜。」
文句を言いながらも部室を片付ける。
すると。
ひかる「失礼しま〜す。演劇部のポスター見て来たんですけど〜。」
夏鈴「見学だけでも大丈夫ですか〜?」
さくら「来た!」
入部希望者だー!
遥香「あ、どうぞどうぞ!」
かっきーがすぐに椅子を用意した。さすが気が利く子だ。
ひかる「部活紹介の時の歌に感動して興味あったんだけど、ポスターの絵にも惹かれちゃって。」
夏鈴「私は、森田の付き添いって感じだけど、面白そうなら入るつもりだよ。」
さくら「そうなんだ〜ありがとう。あ、私は1年C組の遠藤さくらです。」
遥香「私は1年A組の賀喜遥香。よろしく。」
ひかる「私は1年B組の森田ひかる、で、こっちも同じくB組の藤吉夏鈴。よろしくね。」
夏鈴「ところで、この前歌ってた先輩はいないの?」
さくら「あ、生田先輩なら今日は勧誘に出てるよ。そうだ、入部希望者来たし呼んじゃおっか?」
遥香「そうだね、部の説明とかは生田先輩と小藪先生じゃないとできないだろうし。」
ひかる「そっか、まだ演劇の稽古とかはしてないんだね。」
さくら「そーなの、人数集めないと廃部になっちゃうからそれどころじゃないの。」
遥香「でも、2人が入ってくれたら廃部も免れるし、やっと活動できそうじゃない?私、生田先輩と聖来ちゃん呼んでくるね。」
かっきーが部室から出ていこうとすると
小藪「うぃ〜す、お、なんや見かけへん顔やな。自分らも入部希望者か?」
小藪先生がドアを開けて部室に入ってきた。
さくら「あ、小藪先生こんにちわ。」
皆も立ち上がって挨拶する。
遥香「自分らもってことは、他にもいるんですか?」
小藪「あ、いや、それは言葉のあやってやつや。気にすんな。」
ひかる「よろしくお願いします。1年B組の森田ひかるです。演劇部に興味があって来ました。」
小藪「お、なんや礼儀正しい子やな。賀喜以外は俺を舐めとるから常識ある子は大歓迎や。」
さくら「ちょ、ちょっと!私別に小藪先生の事舐めてませんよ?」
小藪「いんや、冗談や。ほんで、自分も入るんか?」
夏鈴「あ、はい同じく1年B組の藤吉夏鈴です。森田の付き添いで来たんですけど、なんか面白そうなので私も興味出てきました。」
小藪「理由はなんであれ興味持ったんならええわ。まぁまだ活動は今からやけど、前向きに考えてくれや。」
そんなことを話していると、ドアがまた開いた。
由依「あ、あの〜…。」
さくら「また来た!」
すると、小藪先生が僅かに微笑んだように見えた。
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由依「え、え〜っと…。」
さくら「あなたも入部希望?」
由依「あ、え〜っと。そ、そんな感じです…。」
ひかる「あれ、小林さん?」
由依「や、やぁ森田さんに藤吉さん。」
夏鈴「もしかして小林さんも演劇部に興味があってここに?」
由依「あ、うん。」
小藪「こらこら、しっかり自己紹介せんかい。演劇部入りたいんなら腹から声出す。ほれほれ。」
由依「あ、え、はい。えっと、1年B組の小林由依です。正直演技にはあまり自信ないんですけど、歌を歌うのが好きで、あの先輩の歌声を聴いて感動したので入部しようと思いました。こ、こんな動機で良ければよろしくお願いします!」
すると皆から大きな拍手が沸き起こった。
遥香「大丈夫だよ、私もたくさん絵が描けるっていう動機で入部したし!ね?小藪先生!」
小藪「当たり前や、演劇にも歌が歌えるミュージカルだってある。というか俺は小林には期待してるんや。なんとなくやけどな、自分は素質がある気がするんや。」
さくら「小藪先生、これで5人集まったから活動できますよね!」
小藪「せやな。廃部は免れるやろう。とりあえず6月にある文化祭を目標に稽古するからな。言っとくが俺は厳しいぞ。しっかり着いてこいよ。」
『はい!!!』
乃木坂高校演劇部、遂にスターツ!!!
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