Abaddon Prime stats talk : day2

Abaddon Primeのday2がオランダはアムステルダムで行われました。

一見するとday1(台湾-高雄)でのスコアを陣営を逆にして再演しただけのようにも思えますが、もう少し仔細に内容を追っていくと、かなり違う展開・勝ち方が志向されていたであろうことが見えてきます。

day2アムステルダムのスコア

オリジナルのスコアボードは以下のところにあります。

…が、お世辞にも見やすいとは言い難いので整形したやつを用意しました。

raw score :

アノマリースコア:

勝利したのはRES。トータルスコアで60点弱の点差だった高雄に対してアムステルダムは45点弱の差での決着となっており、高雄よりは僅差だった、と見た目では感じます。

しかし中身を詳しく追っていくとその印象は変わってきます。

各ゲームのスコア

4つある各ゲームのスコアを見ていきましょう。

キャプチャーバトル(CB)はE 35.54-64.46 RでRESが勝利。
採用スコアはENLがM8の661、RESはM7の1199。
基本的にはENLがM1で勝負をかけるも(おそらくは数差の前に)圧倒され、4:6よりややRES寄りのスコアで開幕、以後徐々にRESに支配率を高められていくという展開で進みました。
しかしENLはダルサナ・レンズを使用してRES全ポータルを減衰させたことにより、M8にて最大スコアを得ることができました(その影響でM8の両陣営合計スコアは全計測中最低の1472となり、唯一1500を下回る数字となっています)。

シャードバトル(SB)はキャプチャーバトル以上にRESがENLを圧倒し続けます。ENLは自主的にはほぼシャードを動かせていないであろう低スコアが続きました。そのRESの最大スコアは(ENLにより)ダルサナ・レンズが使用されたM8。RESのリンクが整理されて動かしやすくなった盤面を利用して得点を確保したような結果です。最終的に採用スコアはE 3-33 R、アノマリースコアは8-92とRESが圧倒的な結果を手にしました。

UPHはENLが勝利…なのですが、むしろ注目すべきはRESのraw scoreでしょう。18.45という数字は、完全にUPHを捨てたスコアです。にもかかわらずACはほとんど差がないE 4.26 - 4.06 Rというraw scoreで終わっているのも気になります。

「勝つ可能性を与えない」という戦略

以上の各スコアから見えてくるのは、アムステルダムにおけるRESの戦略方針です。それは「UPHは捨て、SBでENLの得点機会を削るのに集中する」というものだったのではないかと思われます。

UPH重視型とも言えるAbaddon Primeのルール設定において、難題になるのはフィールドにおける戦闘とUPH確保の両立です。UPHを狙って移動すると、フィールドを確保する戦力としては数えにくい(留まって戦うのと、移動してハックするのが基本的には両立しない)のです。そこでどちらにどのぐらい戦力を振り向けるかの選択を迫られる…というのがルールの意図する基本設計だと思います。

しかしアムステルダムのRESは数で勝っていることをベースとした上で、この基本設計に乗ることを放棄しました。UPHのために移動はせずに固定配置でフィールドを確保し、特にENLのリサーチノード(SBのターゲット)は徹底的に抑え込むという戦い方に出たのです。
UPHは捨てるので、65点は確実に取られます。また、ACでも優位は取れないのでいくらかは負けることでしょう。しかしACでの負け分の見込みは(高雄のスコアを参考にすると)20点ほどであり、これはCBで見込まれる勝ち分と相殺できます。であれば、SBでUPHを上回る65点以上のゲインを得られれば全体としては勝利できるはずです。

ここでキャプチャーバトルの支配率(E 33.42% 対 66.58% R)から期待されるシャードの得点比率として過去に使ってきた「支配率の二乗値の比」を計算すると、E 20.12 - 79.87 R という数字が出てきます。しかし実際のSBのスコアは E 8.33- 91.67 R という数字であり、期待比率に対してENLのスコアは半分以下に抑え込まれています。
素直にSBを戦って期待値に近い結果が出た場合、SBでの点差は60点ほどだったのであろうということです。これは十分な勝ち幅だと思いますが、UPHでの65点を完全に帳消しにするにはいくらか足りていません。

しかしアムステルダムでのRESは、ゲームとしてのUPHを完全に捨てて代わりにSBでENLに点数を取らせないことに戦力を振り向けました。ENLとの競争になって取れるかどうかわからない65点を狙うのではなく、SBでの得点を(確実に)もう10点多く取ろうとしたのではないでしょうか。

これはギャンブルのように思えますが、理に適った考え方です。(人数差を考えると)勝利のためにはUPHを取るしかないENLに対し、RESはUPHを捨てるという決断さえしてしまえばそのぶんの戦力をどこかに振り向けることが可能です。これは優勢側にだけ可能な選択です。

必ずしもUPHには比例しない

そのRESの選択を(結果的に)支えたのが、ACにおける結果でした。双方がUPHを争うゲームとなれば、Abaddon PrimeのACはUPHにほぼ比例する、というのはday1で見たとおりです。では片方がUPHから降りた場合は?

たとえ大きく移動しなくても、周辺で発生したアーティファクトポータルには近寄ってハックするようにすれば、1人あたり4程度(実際には4.06)のraw scoreを確保できる。RESの出した数字がその答えだと思います。

むしろ高雄RES以上の平均UPHを稼いでいるにも関わらず、RESとほぼ変わらない4.26という数字しか出せていないACにおけるENLの無策(あるいはリソース不足)が目立ちます。ここを高雄RESと同程度かもう少し良い、具体的には5.5〜6.0程度の数字に到達させることはENLの勝利のための絶対条件のひとつだったと思います。

ENLに可能性はあったのか

結論から言えば、RESがSBを塞いでロースコアゲームにするという選択をした時点で、ENLに勝ち目は極めて乏しいものだったと思います(ポータル数規模では高雄の2倍弱程度だったアムステルダムですが、SBの最大ゴール数はほぼ変わらない数字であり、いかにゴールし辛いゲームになっていたかが読み取れます)。

ただそれでも、「ACで15〜20点のゲインを稼ぐ」「シャード戦を25:75程度の負けに抑える」という2点が成っていればぎりぎりの勝利を狙うことができたでしょう。M8でのダルサナ・レンズの投入はこれを狙ったものだったのかもしれませんが、結果としてはRESのシャード戦の後押しをする結果となってしまい、差し引きアノマリースコア+5点程度の効果しかもたらせませんでした。

Day3 シカゴに向けて

およそ1年に渡り繰り広げられてきたOsiris Sequenceシリーズの決着が近付いています。Abaddon Prime Day3は5/25にアメリカはシカゴで行われます。

ここまでのシリーズ得点は1-1の同点。シカゴにはシリーズ得点2点が賭かりますが、ほぼ関係なくシカゴの勝者が最終的な勝者となります。

残る3アイテム(ENL:キャリー・キャンベルの日誌、RES:ハンク・ジョンソン & ダルサナ・レンズ)もシカゴに投入されるのはほぼ確実…と思いきや、必ずしも優位が得られるとは限らないハンク・ジョンソン & ダルサナ・レンズについては使用しないまま臨むという選択肢もありえるでしょう。

全般的にENL優位なアメリカですが、シカゴでは過去にVia Noirで大差のRES勝利という結果だったこともあります。決戦の行方がどうなるのかは、蓋を開けてみるまでわかりません。

Abaddon Prime day3は日本時間では5/26 4:30〜7:30に開催されます。結果発表は同日10:00頃の見込みとなるでしょう。開幕前の前哨戦を含めると早朝というよりは深夜からの観戦となりますが、この戦いの行方を見守ってみるのも面白いと思います。

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