Nemesis: Myriad stats talk (1) 各都市スコア短評
Nemesis: Myriadが行われて1週が経過しました。他のスコア振り返りも既に出ていてやや話題に乗り遅れた感もありますが、何回かにわけてスコアから読み取れることを解説していきたいと思います。
まず初回は各都市の(スコアから読む)展開の振り返りをしていきましょう。
◯プサン
ENLが開幕で勝負をかけ目論見通りの成功を得た後、徹底してRESの勝ち目を潰し、プラン通りのゲーム運びで完勝しました。
UPHこそRESが(倍以上の)大差で獲得していますが、この大差はUPHがENLのプラン外だったということの証拠でしょう。シャードとLLPで十分な大差を取り、UPHは捨てて差を守りきって勝つ、というプランだったということです。
プサンM1〜2のENLのLLPスコア(68.8km→87.49km)はシリーズ全都市中最大です。これはゾーン全体を貫く作戦がないと成立しないレベルの数字だと思います。それだけロングリンクに集中するとシャードの方がおろそかになりそう…に思うかもしれませんが、プサンENLはシャードでもM1で十分なスコアを記録しています。
考えられるのは、LLPには外周を使い、シャード戦は主に内側のエリアで行う「両面作戦」でしょう。これなら(成功すれば)シャードとLLPの両方で「勝てるスコア」を記録することが両立します。
このENLの狙いが、UPH主体の青の作戦と噛み合って見事以上の成功を収めました。以後ENLはRESに得点させないことを徹底する方針に切り替えたのでしょう。M3以降のRESのLLPは0行進、シャードも最大で2ゴールとほぼ全面的な制圧に成功し、RESに得点更新の機会を与えることなく開幕で決着したゲームをそのまま終わらせました。
◯バンドン
最終スコアこそENLが3ゲーム全てで勝利した圧勝、に見えますが、各ゲームでの差は決して大きいものではありません。子細に中身を見ていくと、これが大接戦の末の決着だったことが見えてきます。
序盤は双方形が作れない低迷したスコアでの開幕でした。ゲームの流れの変わるポイントとなったのはM4でしょうか。この計測で双方LLPスコアを更新しましたが、ENLが6割ほど多いスコアを記録します。ENLはM5でもLLPスコア更新し差を詰めますが、対するRESもM6でシャードのスコアを更新してリードを広げます。
ゲーム中にスコアが開示されるのはここまで、UPH差で勝敗が決まる、ルール的には僅差と言える圏内でした。
続くM7ではENLがシャードスコアを一気に更新。終わってみればこの差が決勝点だったということになりますが、RESがわずかでもスコアを更新すればすぐUPH勝負に戻る程度の差であり、最後の最後までぎりぎりの戦いだったという印象が強い内容でした。
◯ヘルシンキ
LLPではRESが開幕でほぼ勝負を決める巨大スコアを叩き出します。対するENLはシャード戦ではリードを確保。必然的に、お互い焦点を入れ替えてENLはLLP、RESはシャードに力を入れていく流れに。
RESはM4でシャード戦の逆転に成功。続くM5で更にスコアを更新し、優位を固めます。一方ENLはM5で最大スコアを記録するもその数字はRESの1/4以下。80点以上のリードを得たRESは、M6以降はENLのLLPを潰して逆転の目を消すような動きに切り替わり、それ移行はスコア更新なきままゲームは終了。
RESはUPHを完全に捨てており、当然ENLがUPHの40点を取るも逆転できるはずもなし。プサンとは逆にRESが完勝を固めたというゲームでした。
◯リヨン
スコア更新がたびたび起こる、全体としては目まぐるしいゲーム展開だったと思います。ENLはLLPで先行するところから開幕。対してRESはM2にシャード戦のスコアを大きく伸ばし、UPH逆転圏を越えるリードを得ます。しかしこのリードはM3以降の展開ですぐに崩されていきます。
M3以降は互いに相手にリードを握られているゲームに力を入れはじめ、M4、M5と両ゲームでスコアが更新され差は縮まって接戦模様に。特にM5時点のスコアはE100.91 - 99.09Rという超僅差。
M6でENLがLLPを更新してややリードを広げるも、RESもM7でLLPスコア更新。LLP単独での逆転とはならずも、トータルでの逆転には成功します。
なんにしても完全にUPHで決着するゲームの流れ。そのUPH勝負も98.27 vs 85.04という双方高レベルの争いの結果、ENLが勝利を獲得しました。
◯カウナス
序盤からENLがシャードとLLPの両ゲームでRESを圧倒。
ただしENLのゲーム運びはやや甘く、LLPではRESに2度(M5/M7)ほどそれなりのスコアを記録される危うさはあり。しかし全体を通してみれば十分なリードを確保し続け、安全(UPH逆転不能)なリードを保ったままゲームは終了。ENLがUPHを捨てていないスコア(82.30)を記録していたのは意外でしたが、RESのUPH確保は焼け石に水。ENLの圧勝ペースを揺るがせることなきままの決着でした。
◯マディソン
Enlはシャード、ResはLLPに優位を置いて戦う展開。
アジア〜ヨーロッパでの戦いでは、こういう流れから互いに劣勢側の競技に焦点を置いて挽回を計る戦いが多かったのですが、このアメリカ中西部の開催地ではそのような動きが(スコア的には)あまり見られません。これが得意な競技についてはコントロールして得点状況を維持する狙いだったのか、はたまた勝利を目指してUPHに集中していった結果なのかは数字だけからはちょっと読み取りづらいところです。
ともかくもあまりスコアの動かぬ僅差の勝負は勝負はUPHの結果に賭かることに。どちらも90を越える高いUPHスコアでしたが、103.05で上回ることに成功したRESがリードを守って勝利しました。
◯モントリオール
ENLによる圧倒ペースのゲームでした。M1で勝利に達するスコアを記録し、以後RESにはまともに得点を取らせない、というプサンと同様の作戦ですね。M3でRESにLLPで有効なスコアを記録されてやや綻びが見えたかに思えましたが、以後はまったくペースを握らせず、RESはシャードもLLPもロースコアの連続。M3以降不動のスコアで、UPHこそRESに握られましたが40点が問題にならない十分なリードは確保済みで、そのままENLが勝利しました。むしろこの展開にしてはENLのUPHスコアは高いものでした。
◯ブラジリア
RESはM2のLLPで61.25kmという驚異的なスコアを叩き出し、LLPでのリードを確保することに成功します。しかしシャード戦ではその勢いがまったく感じられません。LLPでもENLを封殺するには程遠く、たびたび有効なスコアを記録することを許します。結局ENLはシャードでは終始RESを抑え込み、LLPでも終盤にかけて勢いを徐々に回復して、M7、M8と連続でスコアを更新。結局シャード+LLPではENLが僅差のリードで、勝敗はUPHに委ねられることに。
UPHはバンドンに次ぐ8点弱の僅差でRESが獲得、この40点で32点差をひっくり返し、本シリーズ中最小の得点差でRESがギリギリの勝利をものにしました。