【テレ東シナリオコンテスト/シナリオ案】知らない人んち(仮) 第4話
上記のアイデアを元にシナリオを執筆しました。
シナリオ案 概要
・真中きいろは真中きいろ本人。しかし、堂島佐和子の母親に、病死した堂島佐和子の身代わりとしてもらわれたので、今日まで堂島佐和子として生きてきた。
・伊藤修子さんは堂島佐和子の母親 堂島和子役。
・末尾の方に「楽しく乾杯するシーン」のシナリオあり。
シナリオ案
○シェアハウス・リビング・内
きいろ、ジェミにお茶を出す。
ジェミ「きいろ……じゃないの?」
きいろ「……えっ?」
ジェミ「これ……ここに堂島佐和子って」
きいろ、あからさまに嫌そうな顔をする。
きいろ「何言ってるんですか。私は真中きいろですよ」
ジェミ「そう、だよね……」
きいろ「他人の空似じゃないですか。この世にドッペルゲンガーは3人いるっているし」
ジェミ「この、堂島…」
きいろ「(遮って)その名前を口にしないでください!」
呼び鈴が鳴る。
きいろ「アクさんたちかもしれない」
きいろ、出て行く。
ジェミ「待って! きいろ待って! 1人にしないで!」
○同・玄関・内
扉をドンドンと叩く音。
きいろ、扉を開けると、堂島和子(伊藤修子さん)が立っている。
和子「佐和子! 帰るわよ!」
きいろ「お母さん!」
和子、苦々しそうに辺りを見渡し、
和子「よりによって……なんでこんなところに」
ジェミ、やってくる。
ジェミ「……誰?」
和子「あなたね! 佐和子を唆したのは!」
ジェミ「唆す? なんのこと?」
和子「佐和子は私の子よ!」
きいろ「お母さん! やめて!」
ジェミ「きいろ……」
和子「きいろ!?なぜその名を!? まさか……佐和子に教えてないでしょうね!」
きいろ「お母さん! もうやめてよ! 教えたのは私だよ。私が真中きいろだって名乗ったの」
和子「佐和子!?」
きいろ「私、もう知ってるんだよ。私が、堂島佐和子の身代わりだってこと」
ジェミ「それって……」
アクの声「お母さん。もう、きいろを解放してあげてください」
アクとキャンが立っている。
キャン「やっぱり覚えてたんだね。きいろ」
きいろ、ゆっくり頷く。
きいろ「私、全部、覚えてる。この施設のこと。忘れたことなんてない」
アク「お母さんに見せたいものがあります」
アク、鍵を見せる。
○同・暗室前の廊下
アク、キャン、ジェミ、きいろ、和子、立っている。
アク、暗室の鍵を開ける。
○同・暗室・内
黄色いリネンで整えられた綺麗な部屋。
棚の上にいびつな工作(きいろが幼い頃に作ったもの)が飾られている。
アク、キャン、ジェミ、きいろ、和子、入ってくる。
ジェミ「……えっ?」
アク「ここはきいろの部屋です。僕たちはきいろを迎え入れたいと思っています」
ジェミ「アクとキャンはきいろを殺そうとしてたんじゃ……」
キャン「そんなわけないじゃん。きいろのこと、忘れたことなんてなかった」
アク「もし、きいろがきいろとして生きることを望むなら……」
きいろ、感極まった表情。
キャン「ずっとこの家にいていいんだよ」
和子「そんなこと、私が許すわけないでしょう!? あなたは佐和子なの。佐和子、帰るわよ!」
和子、きいろの手を強く引く。
きいろ「痛い!」
きいろ、和子の手を振り解く。
きいろ「私、もう子供じゃない!」
和子「佐和子!」
ジェミ「ちょ、ちょっと待って! アクとキャンはきいろをいじめてて、それで、それを知られたら困るから……」
和子「そうよ! こんな施設、いい思い出なんてないでしょう!」
きいろ「そんなわけない! アクとキャン、泣いてた。私がこの家を出る時……泣いてたんだよ!」
ジェミ「どうして、最初から言わなかったの……」
きいろ「みんな、私のことなんて覚えてないと思ったから……」
キャン「何言ってるの!? それはこっちのセリフだよ!」
キャン、きいろを抱きしめる。
キャン「またみんなで暮らそう。ここで暮らそう」
きいろ、頷く。
和子、キャンときいろをじっと見る。
アク「もう解放してあげてください」
和子「……何言ってるの。佐和子をここまで育てたのは私なのよ! この子は私のものよ!」
アク「きいろはあなたの所有物じゃありません」
和子「あんたなんかに何が分かるのよ!」
きいろ「お母さん。お母さんには感謝してる。でも、これからは……」
きいろ、アク、キャン、ジェミを見る。
きいろ「みんなと暮らしたいの」
和子「恩知らず! あんたなんかもらわなきゃよかった……」
きいろ「……」
アク「あまり強引な手に出たくはないですが……あなたの罪を明らかにすることも可能なんですよ」
和子「……!」
アク「それは避けたいですよね」
和子「卑怯者!」
和子、きいろを見て、
和子「勝手にしなさい!」
和子、出ていく。
きいろ「待って。待って、お母さん」
きいろ、追いかける。
○同・和室前の廊下
和子、やってくる。
きいろの書いた絵が落ちている。
和子、絵を拾って、じっと見る。
きいろ、やってくる。
きいろ「お母さん!」
和子「相変わらず下手くそね」
きいろ「え」
和子「でも、楽しかったのね」
和子、きいろに絵を渡す。
和子「(穏やかに)勝手にしなさい」
和子、出ていく。
きいろ、絵を裏返す。
絵には『まなかきいろ』と書いてある。
○同・暗室・内
ジェミ、へなへなと座り込む。
キャン、ジェミを抱きしめる。
アク、ホッと息をつく。
ジェミ「私……アクとキャンがきいろを殺そうとしてるんだとばっかり……」
キャン「何言ってるの!?」
ジェミ「だって、いじめてたじゃん」
アク「いじめ!?」
キャン「それはたぶん……きいろがこの施設を嫌いなれば、新しい家で幸せになれると思って……」
アク「ああ。そんなことあったな」
キャン「カレーにスパイス入れたこともあったね」
× × ×
(フラッシュ)
ココアの缶に入ったスパイス。
× × ×
アク「だから覚えてたのか……」
キャン「歓迎会、しないとね」
アク「そうだな」
微笑み合う3人。
○同・外観(夕)
アク、キャン、ジェミが玄関を入っていく。
表札に汚い字で「真中きいろ」と書いてある。
アク、キャン、ジェミ、きいろの声「かんぱーい!」
○同・暗室(きいろの部屋)・内(夜)
アク、キャン、ジェミ、きいろが乾杯している。
部屋には飾り付けがしてあり、テーブルの上にはごちそうとサッポロビールが置かれている。
棚の上にいびつな工作(きいろが幼い頃に作ったもの)が飾られている。
きいろ「私の家へようこそ!」
キャン、パクパクと食事を食べる。
キャン「おいしい!」
ビールを飲み干す。
キャン「食事+ビール最高!」
ジェミ「まさかこのメンツで乾杯できるなんてね」
アク「大人も悪くないな」
ジェミ「捨てられた子は幸せになれないと思ってたけど……」
ジェミ、きいろを見て微笑む。
ジェミ「そんなことなかった」
キャンの声「なにこれー!」
キャン、いびつな工作を見ている。
きいろ「あっ! これは」
キャン「へたくそー!」
きいろ「これ、誰がこの部屋に置いたんですか!」
アク、手をあげる。
アク「可愛いかと思って」
ジェミ「下手くそね」
キャン「私、この家に住もうと思います!」
アク「え!? じゃあ僕も」
ジェミ「私も……」
アク、キャン、ジェミ、きいろを見る。
きいろ「私も……」
アク、キャン、ジェミ「どうぞどうぞ」
笑い合う4人。
○同・外観(夜)
4人の笑い声が響く。