【テレ東シナリオコンテスト/シナリオ案】知らない人んち(仮) 第1話
概要
・200字詰め原稿用紙で10枚程度(10分弱)のシナリオ案を作成
・シナリオ案の要点:男子部屋の中が明かされる/アク・キャン・ジェミの力関係が見えてくる/実はきいろは策略家だということが見えてくる
人物
きいろ(28) 潜入捜査官
アク(31) 元教師
キャン(29) 元アイドル
ジェミ(27) 元写真家
新聞配達員
【シナリオ案】知らない人んち(仮) 第1話
○シェアハウス1階・和室・内
きいろ(28)、絵をお尻の下に慌てて隠す。
ジェミ(27)、ふすまを開ける。
きいろ「な、何も見てません!」
ジェミ「これ」
ジェミ、1枚の紙を見せる。
きいろ「なんですか? それ」
ジェミ「同意書」
ジェミ、入って来て、紙を机に置く。
ジェミ「ペン持ってる?」
きいろ「えっと」
きいろ、カバンの中に手を入れる。
○きいろのカバンの中
ペンが入っている。
きいろ、ペンを1度掴んで、離す。
○シェアハウス1階・和室・内
きいろとジェミが座っている。
きいろ、苦笑いをして、
きいろ「持ってなかった」
ジェミ「待ってて」
ジェミ、出ていく。
きいろ、ホッとしてカバンに絵をしまう。
カバンから小さなケースを取り出し、ポケットにしまう。
真剣な表情で紙を見る。
紙には『同意書。住所および居住者のプライバシーを他言しないことに同意致します』と書いてある。
きいろ、スマートフォンで紙を撮影する。
きいろ「破ったら、どうなるんでしょうか?」
ジェミ、入ってくる。
ペンを差し出し、
ジェミ「書いて」
きいろ「きいろでいいですか?」
ジェミ「本名」
きいろ、紙に書こうとして、ためらう。
○同・廊下
アク(31)、玄関を開けて入ってくる。
手にはビニール袋を持っている。
○同・和室・内
きいろとジェミが座っている。
ジェミ、机の上の紙を取る。
ジェミ「ありがとう」
ジェミ、出て行こうとして、
ジェミ「秘密だから。絶対」
きいろ「はい」
ジェミ、出ていく。
きいろ、不思議そうにジェミを見つめる。
○同・廊下
階段の前でアクが腕を組んで立っている。
ジェミ、やってくる。
アクに紙を渡す。
アク、紙を見てニヤリと微笑む。
○同・リビングダイニング・内
きいろとキャン(29)、自撮りをしている。
キャン、渾身のキメ顔。
きいろ「はい、チーズ!」
キャン「可愛く撮れた?」
きいろ「バッチリです。キャンちゃんさん、慣れてますね。アイドルみたい」
キャン、慌てて、
キャン「そんなことないよ」
きいろ「やっぱり向いてますよ。Youtuber」
キャン、苦笑い。
きいろ「そうだ! これ、SNSにあげてもいいですか? 宣伝しとかなきゃ」
キャン、怯えた表情になり、
キャン「え? 今?」
きいろ「こういうのはリアルタイムの方がいいんですよ」
きいろ、スマートフォンをタップする。
画面には、きいろのSNSが写っている。
キャン、きいろのスマートフォンを取り上げる。
キャン「誰も見たくないよ。私の顔なんて」
きいろ「崖っぷちなんですよ! こっちは!」
きいろ、乱暴にスマートフォンを取り返す。
キャン「もっと面白いものならいい? ほら、部屋とか? まだ見てないよね。男子部屋」
アクの声「ダメに決まってるでしょ」
アク、片手にビニール袋を持って立っている。
キャン、肩をビクッと震わせる。
キャン「おかえりなさい」
キャン、きいろから離れ、アクからビニール袋を受け取る。
キャン、袋の中を見る。
袋の中には、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、豚肉、カレー粉、結束バンドが入っている。
きいろ、キャンとアクの背中をじっと見つめる。
そっと投稿ボタンを押す。
きいろ、パッと笑顔を作り、
きいろ「アクさん! お部屋ついて行っていいですか?」
アク「ダメ」
きいろ、ジャケットを軽く脱いで、色っぽい表情を浮かべ、
きいろ「ちょっとだけ」
アク、出ていく。
きいろ「えー!!」
きいろ、肩を落とす。
○シェアハウス・外観(夕)
新聞配達のバイクがシェアハウスの前を通る。
○シェアハウス1階・キッチン・内(夕)
きいろ、スマートフォンで撮影をしている。
キャン、手際よくニンジンを洗っている。
きいろ「いつもお一人で作るんですか?」
キャン「2人とも忙しいから」
きいろ「ふーん」
きいろ、不服そうに上を見上げる。
○シェアハウス2階・暗室・内(夕)
真っ暗である。
パソコンの画面に照らされるアクの顔。
○シェアハウス1階・キッチン・内(夕)
きいろ、スマートフォンで撮影をしている。
キャン、引き出しから包丁を取り出す。
きいろ「取れ高チャーンス!」
きいろ、キャンに強引にスマートフォンを渡す。
きいろ「得意なんです」
キャン「じゃあ、お願いしようかな」
きいろ、カメラ目線で、
きいろ「きいろちゃんの華麗なる皮むきをご覧あれ!」
きいろ、ニンジンを持ち、たどたどしく皮を剥く。
わざと指を切る。
きいろ「痛っ!!」
キャン「大丈夫!?」
きいろの指から血が出ている。
キャン「どうしよう。絆創膏……」
きいろ、したり顔で指を舐める。
○同・リビングダイニング・内(夕)
キャン、絆創膏を探している。
キャン「どこにあるの……」
○同・キッチン・内(夕)
きいろ、キャンに見えないようポケットから小さなケースを出す。
絆創膏を取り出し、指に貼る。
○同・リビングダイニング・内(夕)
キャン、絆創膏を探している。
きいろの声「キャンさん」
キャン、振り返る。
きいろが指を抑えて立っている。
きいろ「血が止まらなくて。2人にも絆創膏持ってないか聞いてきますね」
キャン「ごめんね。ジェミちゃんなら持ってるかも」
きいろ、出て行く。
○シェアハウス2階・廊下(夕)
きいろ、スマートフォンを片手に、階段を駆け足で登ってくる。
勢いよく男子部屋の扉を開ける。
○同・男子部屋・内(夕)
きいろ、扉を開ける。
誰もいない。
壁という壁にアイドルのポスターが貼ってある。
きいろ「あれ……いると思ったんだけどな」
スマートフォンの着信音が鳴る。
きいろ、スマートフォンを見る。
きいろ「情報には気をつけて」
SNSへの投稿に『情報には気をつけて』と返信が来ている。
きいろの背後でガタンと音が鳴る。
きいろ、振り返る。
○同・廊下(夕)
きいろ、不安げにあたりを見回す。
キイロ「誰かいるの……」
キイロ、階段の前まで来て、スマートフォンを見る。
返信元は『AQUARIUS』と書いてある。
○(回想)シェアハウス1階・和室・内
きいろとジェミが座っている。
きいろ、紙にペンで文字を書こうとする。
ジェミ「偽名でいい」
きいろ「え?」
ジェミ「情報には気をつけて」
○シェアハウス2階・廊下(夕)
きいろ、スマートフォンを見ている。
きいろ「わっ!!」
きいろ、階段から落ちる。
2話へ続く