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日本でDXが進まない理由の裏にあるもの

日米の丸亀製麺を比較して、日本でDXが進まない理由を考察した記事があります。

アメリカでは

オーダーを取る人
麺を準備する人
麺を茹でる人
茹でた麺を渡す人
麺を冷やす人
麺をお椀に入れる人
お椀に汁を入れる人
お椀にトッピングを入れる人
お椀をお客さんに渡す人
天ぷらを揚げる人
揚げた天ぷらを並べる人
会計をする人

と、12人もスタッフがいて、しかも最低時給が日本円で2000円、

それに対して、日本の丸亀製麺を思い出すと、麺をゆでて、トッピングをして、オーダーを聴いて、お会計をして、お客様の列の整理をして、お客様が帰ったあとの机を拭いて、冷水機にグラスを補充して、、、のマルチタスクを、多くても5人ぐらいで回していて、概ね時給は1000円程度、というところです。

つまり、

安い時給でマルチタスクできちゃうとなると、DXを進める理由が薄れてくるのかもしれない。日本では、無理やりデジタルにしなくても「究極のアナログ = 人間による作業 」が最強なのだから。

アメリカ: シングルタスク = 自動化しやすい
日本: マルチタスク = 自動化しにくい

ということになります。

「麺をゆでるだけの機械」「オーダーを伺う部分だけデジタル」というのはやりやすいですが、

「麺をゆでて、トッピングをして、オーダーを聴いて、お会計をして、お客様の列の整理をして、お客様が帰ったあとの机を拭いて、冷水機にグラスを補充して、、、のマルチタスクをこなせるロボット」

って、一体、いくら積めばそんなロボットが作れるのか分かりません。

また、『麺をゆでる部分だけを機械化』しても、単純労働のアメリカは時給2000円の労働を置き換えになりますが、マルチタスクの日本は『麺をゆでる部分だけの機械』では1000円のうちの100円分ぐらいが浮く話にしかなりません。

これが、日本でDXが進まない要因としています。

そして、今まで「安い労働力なのにマルチタスクで何でもそれなりのクオリティやってくれる」という『勤勉さ』は、むしろ、日本が諸外国に比べて有利な点とされてきました。

いまは、その流れが逆のスパイラル、

安くて何でもできる→DXするより人がやった方が安くて早い→DXがすすまない→生産性が高まらない→給料が安いまま→給料が上がらないので消費に回らない→高い値段の商品が売れない→価格が下がる→安くて何でも出来る人材が必要→DXするより、、、、

ということになっているわけです。

というところまでが紹介した記事の主張ですが、この裏にある話を考えてきます。

実際、オーダー内容に関しての質問をしてみても、

「私は漬け汁担当ではないのでわからない」
「トッピングに関しては横の人に聞いてくれ」
「私は天ぷらを作るだけの役割だから」

などの答えが返ってくる。

と、記事でも紹介されますが、あまりにタスクに対して単純化されていると、労働者が全体を見る視点が育たないんですね。

つまり、日本では良くあるような

「バイトがスタートでも、正社員登用、そして店長昇格もあるよ!」

みたいなことは起きえないわけです。

どういうことかというと、単純労働だけで全体を見るポジションに移行できないため、いつまでもその単純作業のスキルしかみにつかず、単純作業者は単純作業者、マネジメントはマネジメントと、『格差が固定する』わけです。

『全員がそれなりに全部の仕事を出来る』からこそ、他の国と比べれば、日本は、相対的には、これまで、そこまで極端な格差がつかなかったのかもしれません。

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