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社債とインサイダー取引規制

インサイダー取引規制は株式について問題になることが多いものの、社債についても規制されています。

もっとも、社債については広く例外が定められており、一部の情報のみがインサイダー情報とされます。

法令の定め方は「一定のものを除き適用なし」という、裏から定めるものとなっていますので、以下条文を整理します。

まず、以下のとおり、「内閣府令で定める場合を除きインサイダー取引規制の適用なし」と定められています。

六 社債券(新株予約権付社債券を除く。)、第二条第一項第十一号に規定する投資法人債券その他の政令で定める有価証券に係る売買等をする場合(内閣府令で定める場合を除く。)

金商法166条6項6号

内閣府令をみる前に、「その他政令で定める有価証券」をみてみると、以下のように定めています。

第三十二条の二 法第百六十六条第六項第六号に規定する政令で定める有価証券は、次に掲げるものとする。
一 社債券(相互会社の社債券を含み、新株予約権付社債券を除く。以下この条において同じ。)又は外国の者の発行する証券若しくは証書で社債券の性質を有するもの(以下この条において「社債券等」という。)
一の二 法第二条第一項第十一号に掲げる投資法人債券(以下この号において「投資法人債券」という。)又は同項第十一号に掲げる外国投資証券で投資法人債券に類する証券(以下この条において「投資法人債券等」という。)
二 第二十七条の四第一号に掲げる有価証券のうち、信託財産を当該上場会社等の社債券等又は投資法人債券等のみに対する投資として運用することを信託約款に定めた投資信託又はこれに類する外国投資信託に係るもの
三 第二十七条の四第二号に掲げる有価証券のうち、資産を当該上場会社等の社債券等又は投資法人債券等のみに対する投資として運用することを規約に定めた投資法人又はこれに類する外国投資法人の発行する投資証券等
四 第二十七条の四第五号に掲げる有価証券のうち、当該上場会社等の社債券等又は投資法人債券等を受託有価証券とするもの

金商令32条の2

本題の「内閣府令で定める場合」については、以下のとおり定められています。これに該当する場合には、インサイダー取引規制の適用がありとされます。

法第百六十六条第六項第六号に規定する内閣府令で定める場合は、同条第二項に規定する重要事実のうち同項第一号カ若しくは令第二十八条第八号に掲げる事項に係るもの、令第二十八条の二第五号若しくは第六号に掲げる事実に係るもの、同項第九号チ若しくは令第二十九条の二の二第五号に掲げる事項に係るもの又は令第二十九条の二の三第四号若しくは第五号に掲げる事実に係るものを知って売買等をする場合とする。

取引規制府令58条

上記の取引規制府令58条は条文を引用しているのでわかりづらいですが、その引用されている条文の中身は、上場会社等(上場投資法人等を除く)については以下の通りです。

  • 解散(合併による解散を除く。)の決定(金商法166条2項1号カ)

  • 破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立ての決定(金商令28条8号)

  • 債権者その他の当該上場会社等以外の者による破産手続開始の申立て等の発生(金商令28条の2第5号)

  • 不渡り等の発生(金商令28条の2第6号)

上場投資法人等については、以下の通りです。

  • 解散(合併による解散を除く。)の決定(金商法166条2項9号チ)

  • 破産手続開始又は再生手続開始の申立ての決定(金商令29条の2の2第5号)

  • 債権者その他の当該上場投資法人以外の者による破産手続開始又は再生手続開始の申立ての発生(金商令29条の2の3第4号)

  • 不渡り等(金商令29条の2の3第5号)

なお、「不渡り等」は以下の通り定義されています。

手形若しくは小切手の不渡り(支払資金の不足を事由とするものに限る。)又は手形交換所による取引停止処分

金商令14条1項3号ニ


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