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ごはんの味


今日はひさしぶりに定食屋へ。

普段は外食するとしてもチェーン店が家の周りには多いので自ずと選択肢はひとつかふたつ。
というか、あまり冒険出来ずに知っているお店に入りがち。
友達とご飯を食べに行く時は知らない初めてのお店を選ぶことが多いのだけれど、自分ごととなるとどうも億劫になる。


今日はずっと気になっていたけれど入りずらいなと思っていたお店へ。
最近読んだ本に、今の現状にモヤモヤしていたり堂々巡りだと感じたときは、
新しいことに挑戦するのがいいと書いてあったので、私としてはいい機会だった。


店前に到着するとカウンター席にはおじさんが2人。

、、、、、。行けそう。

引き戸を開けて中へ入ると可愛らしい元気な声でお母さんが招き入れてくれた。
この時にもう私の心の中では美味しそうと思っていた。


テーブル席へ座るとお茶が運ばれてくる。
湯気が立っている。温かいお茶だ。有難い。
しかも温かい麦茶。最高。もう星1は確定だった。

私は日替わり定食を頼んだ。
今日はしょうが焼きと書かれていた。
あと、もつ煮込みの小をつけた。もつ煮込みの文字に弱いのだ。


頼んだあと、カウンター席のおじさんの目線が妙に鋭く感じてちらっと見ると、私が座っていたテーブルの上の方に目線は向けられていて、テレビを見ていただけだった。
ニュース番組が流れていて、大谷選手はどこに移籍するのかが大きなトピックだった。

カウンターのおじさんはどうやら常連さんのようで、おかあさんと時折世間話をしながら瓶ビールを飲んでいた。


私の定食が席に運ばれてきた。
ピーマンが入っている。珍しい。
こういう時、酢の物の小鉢、おしんこがあると心が躍る。

熱々の味噌汁を飲む。やさしい味がした。
メインのしょうが焼きを食べる。


、、、、。生姜の味がしない。
でもすごく美味しい。

食べても食べても生姜の味はしなくてびっくりだったけれど、本当にほっこりする味だった。


わたしはこういうご飯に出会うと、
ちょっと涙が出そうになる。

温かい、優しい味。自分で作るご飯じゃない、ひとが作るごはんの味。

食べても食べてもまた食べたくなる味。

お腹いっぱい食べた〜!となることに
満足感を得ていたが、

心が満たされるとはこういうことか、と
ひさしぶりに気付かされた。


店から出ると足早に帰るサラリーマンやバイト帰りの女子大生の姿。
ぽかぽかに心もお腹も満たされたわたしは、
ゆっくり寒い空気をめいいっぱい吸い込んで
帰路に着いた。


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