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 だいたい、音楽なんか無くても生きていけるなんて事は僕がいちばん分かっているつもりです。曲が作れなくても生活は転がり続けるし、ギターが弾けなくなったって僕の信用情報はきれいなままです。音楽のない暮らしはきっと部屋がふた回りくらい広くて、少なくとも今よりはお金に余裕があるんだろうなと何度も想像することがあります。ましてや僕のヘッドホンの外側で、誰かの人生にとって欠かせない1ピースになりたいだなんて思ったこともなかったけど、どうやらそんな無責任なこともいよいよ言っていられないらしい。みんなが居るうちは僕には音楽が必要です。どうか僕の居場所であり続けて欲しい。

 「青春の取り戻し」という言葉を使いました。僕はわりと深刻にどうしようもないほど性根が陰鬱とした野郎なので、これまでずっとキラキラしたものに縁がなかったというよりは、積極的に目を背けながら、上手に躱しながら生きてきました。それでもこのツアーで、心の底から自分の為に書けたと思っている曲たちをあんなに楽しそうに聴いてくれるみんなの姿が本当に綺麗で、少しでも長く目に焼き付けておきたかった。僕らからお誘いした上にチケット代なんかまで貰っておいてなんだけど、ようやく僕も仲間になれたような感覚がありました。今までよりもちょっとは前向いてギター弾けてたと思うんだけど、どうだった?

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