山本まとも

短歌/短歌人会

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行き届きっぷりについて(生沼義朗『空間』書評)

「短歌人」2019年11月号掲載 歌集冒頭の歌。「二〇〇九年一月、都内某大学病院」という小見出しがある。「救急部付事務職」は、組織により付与される地位そのままの表現である。これを、「として」「とされ」のようなかりそめ感・強いられ感のある表現ではなく、「となり」と受け止める生真面目さが、著者の特徴だと思う。「もっとも端」はシニカルな視点を含んでいるが、これも結句の「となる」で、前半の復唱としておさめてしまう。生真面目さが行き届きすぎていて、うっすら異様である。この行き届きっぷ

    • 一首評:少し見ていいですかって聞かれてる春の時間は使うしかない(廣野翔一)

       たくさんの人が良いと言っている歌だけど、良さを自分に染み込ませたくなって書いてみていたら、案の定もっと好きになってきました。  一首で読んでも、誰かとどこかに出かけていて、その相手が何か気になるものを見つけたらしいというシチュエーションはわかる。聞き方が「見ていきませんか」とかではないので、誰もが興味を持つものというよりは、相手の人が好きなもの、関心があるものっぽい。二人はまだすごく親しいわけではないので、ちゃんとこう質問をされていて、でも主体はそれに対して当然、というよ

      • 「私が選んだベスト3」 (2023.10)

        note転載時追記:「私が選んだベスト3」は、『短歌人』誌上のコーナーで、その月の担当者が前々月号の短歌人誌から3首を選びます。 こちらの記事は2023年10月号掲載にされ、引用歌はいずれも2023年8月号掲載作品です。  一首目。一読してわかる通り、田植え前の水張田の風景を描いている歌。  「まんまんと」という見ている側の気分も現れているようなたっぷりとした擬態語から始まって、まずは広い田んぼの風景全体をイメージさせる。次に、水面にフォーカスが移り、風景に波立ちという動き

        • 2018/10/6 SPE(青チーム皇帝)メモ

          ※ 最下部にちょっとずつ追記していっています。 レポートのようにちゃんとはまとめられませんでしたが、自分の行動(○)と思考(●)の記録をメモしました。 【ゲーム開始前】 ● MP⇒☆の換算レートが、殴ると1or0、共鳴なら2/3。中盤までは安定して共鳴できれば有利、終盤に殴り合いに入るゲームだと予想。 ○ 自己紹介では、共鳴できる相手だとアピールしてみた ○ 武器は ロケット剣(パワー5) 【前半】 ○ まずはピックアップポイント(PuP)を探す。   会う人に、「

        行き届きっぷりについて(生沼義朗『空間』書評)