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[48本目]ライブハウスで飲むビールがいちばん美味しいんだ

2019年まで年間200本くらいライブハウスでライブを見ていた。取材や撮影、そして自分が開催するイベントなど、お仕事以外ではハコに入って真っ先にバーカウンターに向かい、お酒を注文する。どんなお酒も好きだし銘柄にもあまりこだわりはないけど、そのライブハウスにハートランドがあるときは、必ずそれを頼むことにしている。

ライブハウスは音楽を楽しむ場所であり、自分にとって音楽を楽しむためにお酒は欠かせない。お酒でゆるんだ心にいい音楽はスッと入ってくる。ライブハウスに通うようになって20年、たくさんの音楽に出会い、たくさんの音楽を愛する人たちに出会い、そしてお酒を供にした。自分の人生にとって音楽、そしてお酒は欠かせないものだった。

そして迎えた2020年。
アレのせいでそんな当たり前の光景は、
失われた。

2020年3月10日のとあるライブハウス、お客さんはほとんどいなかった。そして、その後3ヶ月間、私はライブハウスに足を踏み入れることはなかった。

ライブハウスでお酒と共に音楽を取り戻したのは、7月9日のこと。こんなに長期間、ライブハウスを失ったのは本当に久しぶりで、かなり緊張しながらライブハウスに入った。久しぶりのライブは本当に素晴らしかった、ライブハウスで飲むビールは本当に美味しかった。
でも、以前と同じように心から音楽、そしてお酒を楽しむができたかといわれれば、それは否だ。どうしても気を使ってしまう。マスクをしつつ、さらにはフェイスシールドもしていた。お酒は飲みづらいし、目の前にあるはずの光景も3割減みたいな感覚だった。

様々なライブハウスが配信を始めていた。ライブハウスのフロアで、全身で音を感じたことがあるから、最初はなんだか物足りなさを感じていた。でも、ある頃から割り切って配信ライブを楽しむことに注力した。色々なことをやってみたけど、部屋を真っ暗にしてライブ配信を流し、ちょっと音がいいヘッドフォン、そしてお酒があれば十分だと気がついた。それまで気にかけたこともなかったけど、最寄りのスーパーにはハートランドが置いてある。ああ、そうか、配信ライブを見ながらハートランドを飲めばいいんだ。

今、ライブハウスはある意味とても安全な場所だと私は思う。ステージと客席はしっかりと距離が離され、フロアにはお客さんの立ち位置がマーキングされ、さらにはフロアの全員がマスクを付け、拳は全力で上げるけど歓声は誰も上げない。それだけに、なかなか心からお酒を楽しみつつ音楽を感じることはできない状況が続いている。

配信ライブでハートランドを飲むのはもちろん楽しいけど、ライブハウスのフロアやライブバーのカウンター、そしてクラブで音楽とお酒にその瞬間を委ねる悦びは何物にも代えがたい。いつか、ライブハウスという場所で飲むしあわせを取り戻すことができたら、思う存分愉しみたい。

2021年、私たちは再びそんな光景を迎えることができる。
そう信じつつ、2020年という年を終えようじゃないか。

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#ここで飲むしあわせ

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