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僕が僕で在る為に

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山路もこう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
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2021年11月の記事一覧

書くことと話すことの相違

 今年から音声による情報発信を始めてみた。きっかけは言うまでもなく「Clubhouse」である。コロナ禍により自宅警備員が急増したタイミングでの日本上陸で、多くの人がこぞって音声によるコミュニケーションを楽しんでいたが、自宅警備の任務が解かれて野に放たられるや否や、閑散とした場となってしまった。夏草や兵どもが夢の跡。  とは言え、音声によるコミュニケーションの可能性を改めて感じることが出来たのは収穫だった。音声の場合は文章では表現し辛い「抑揚」「律動」を伝えやすい。そして何

心配する人と心配しない人の分断

 珍しくバスに乗った。街を走る路線バスではなく、空港まで行く高速バスだ。自宅から歩いて5分のところから、空港直行のリムジンバスに乗れる。とても便利だ。  普段は車で移動しているので、電車やバスなどを使うことは稀である。だからこそ、久々に乗る公共交通機関に対しては事前の準備が欠かせない。車は自分で運転するので行く先を間違える事はないが、電車やバスは行き先を間違えると知らないところに連れて行かれてしまう。だから事前に何度も確認をする。  日本の鉄道は世界一時刻に正確だと聞いた

超高齢化社会の断片

 駅前のコーヒーショップでカフェラテを飲みながら時間を潰していた。学生たちがノートを広げていたり、サラリーマンがパソコンを叩いているような、セルフスタイルのよくあるチェーン店だ。  僕の席の近くに一人の女性が座っていた。歳は70歳前後ではなかろうか。身なりもしっかりとしていて、煌びやかな時計やネックレスなども目を引く。中でもキリッとした眼鏡が彼女を知的に感じさせた。  そこに同じくらいの年齢の女性がやって来た。どうやら待ち合わせていたようだ。いくつになっても女性はお喋りが