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下手な翻訳には話し手が二人いる

外国語の翻訳物を読んでいると、どうも読みにくいと感じることがある。

いわゆる下手な翻訳だが、どういう場合に下手な翻訳になるのだろうと考えて、思い当たった。

それは、<話し手が二人いる>場合ではないだろうか。

翻訳では、著者のほかに翻訳者が、自分の立ち位置から語ってしまいやすい。

つまり、文の話し手が著者と翻訳者の二人に分裂しているとき、読みにくくなる。

原意を誤解したり、原意がよくわからないので誤魔化して訳している場合も、けっきょく翻訳者が訳文に顔を出してしまっているということである。

こうなると、話し手が二人いるようなもので、読み手は誰の何を読んでいるのかわからなくなる。

これが、下手な翻訳ということではないか。


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