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「かきくけこ」は、本当に "ka ki ku ke ko" だろうか

ワープロを使うとき、日本語をローマ字で書く。

そのせいか、日本語の音声について、われわれはついつい誤解してしまう。

たとえば、「かきくけこ」と言ってみると、たしかにはじめ子音的で、そのあと母音的になる。だからワープロで ka, ki, ku, ke, ko と書くのは正しいような気がする。

だが意識のうえでは、われわれは「かきくけこ」をひとつの音として言っているのではないだろうか。

つまり、日本語の「かきくけこ」は、子音的要素と母音的要素がひとつに融合している。だからこそ、われわれは「かきくけこ」を、ひとつの文字で書くのではないだろうか。

いや、「かあさん」のように、「か」を伸ばしたらたしかに母音「あ」になるのだから、やはり「か」は<子音+母音>なのではないか、という反論があるかもしれない。

だが「かあさん」の「かあ」は、「か」を伸ばしたのではなく、「か」と「あ」という二つの音である。二つの音だから、われわれは「かーさん」ではなく、「かあさん」と書くのではないだろうか。

日本語の音声は、ローマ字的な<子音母音>というより、ひらかな的な<子音÷母音>なのではないだろうか。

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