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外国語でも部品の機能と部品の本質はちがう

言語の仕組みについて。

ここでは、車の仕組みを例にして考えてみる。

次のイラストは、電気自動車の仕組みを描いたもの。


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https://livedoor.blogimg.jp/benrigazou/imgs/6/5/65942509.gif


ここにはモーター、バッテリー、コントローラー、充電器、という四つの部品が描いてあり、これだけでも電気自動車も仕組みはけっこうわかる感じもする。

だが、このイラストでは気づきにくいことや、欠けているものもある。それは、

① モーター、バッテリー、コントローラー、充電器というのは、部品の名前のように見えるが、じつは機能の名前であること。じっさい、厳密には「モーター」という名前のモーターはなく、メーカーごとに正確な部品名があるだろう。

言語でも、動詞とか形容詞といった品詞名は機能の名前であって、正確には「動詞」とか「形容詞」という名前の動詞や形容詞は使っていない。使っているのは、「うごく」とか「はやい」という動詞や形容詞である。

② 機能がわかれば仕組みがわかるような気もするが、じつは機能をさらに支えるものがある。それを「本質」という。モーターという機能の本質は、「動力発生源」(広辞苑)である。

モーターの機能の良し悪しの判断や改良は、「動力発生源」という本質に照らして判断・実行される。

言語でも、動詞や形容詞という機能を支える本質というものがある。それは実体(動態や状態を担う基体)の動態や状態の認識を表現することである。

動詞や形容詞が果たす機能の良し悪しは、動態や状態の認識表現における使い勝手の良し悪しに照らして判断される。

③ このイラストには、モーター、バッテリー、コントローラー、充電器の配置順序も描かれている。これが「構造」である。もしこれらの配置順序つまり「構造」を間違えれば、全体が動かない。

言語でも同じで、それぞれの品詞の機能・本質の連携の仕方を知り、配置順序を守ることが、たとえば外国語を運用するときは重要な基礎力となる。

これまでの文法は、せいぜい部品の形や機能の解説にすぎず、本質や本質の連携(構造)の解明にまで達していない。

④ あまり目立たないが、ここにはコンセントも描かれている。車は外部からの入力がないと動かないことが示唆されているわけである。

ここには明確に描かれていない部品・機能・本質もある。ハンドル、シャシー、ブレーキ、アクセルなどの制御系、シャシー、ドア、屋根、ミラーなどのボディ系、タイヤなどの接地面などである。これらについて知識があれば、運転にいっそう自信がもてるだろう。

言語を理解するときも、外部からの入力はどのようにおこなわれるか、全体がどうなっているかがわかっていると自信がもてるが、そうした全体像を提供してくれる文法はまだない。(私のトランス・グラマーはそれをめざしている)

⑤ ハンドル、ブレーキ、アクセル、ミラーの利用・操作の要領はこれではわからない。交通法規や道順などの知識や体験も描かれていない。

外国語の運用でも、こうした操作の知識と体験が必要になるが、従来の外国語習得法ではこの面がおろそかになっている。

...

名詞、動詞、形容詞といった品詞名は、機能の名前である。

機能の背後には本質というものがある。

ある言語の品詞の機能だけでなく、本質レベルでの全体の仕組みや運用の知識を解明することも、個別文法の役割である。

そして人間の言語である以上、必ずそなえているはずの機能や本質や構造を論じるのが、ソシュールが先鞭をつけた「一般言語学」というレベルである。


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