見出し画像

カタカナ英語と闘うピーター・バラカン氏の叫び 3

■ 有名アスリート、Jamaica の Usain Bolt は、「ジャメイカのユーセイン・ボウルト」。83、91頁。

「ジャマイカのウサイン・ボルト」といった奇妙な言い方が蔓延するのは、マスコミmass media に大きな責任があると、バラカン氏。

たしかに、マスコミが「ジャメイカのユーセイン・ボウルト」と英語風に言っていたら、そのように日本人は覚えたかもしれない。

ただ、日本人が「ジャメイカのユーセイン・ボウルト」と覚えたとしても、カタカナで書いてカタカナ読みしている以上、それは英語ではなくて日本語なのだろうけれど。

■英語っぽい日本語集。

「リニューアルオープン」「フレッシュオープン」は英語ではない。86頁。

「シュークリーム」は靴磨きクリーム。英語は chou a la creme。111頁。

バラカン氏がとくに気になるのは、店の看板の

”used book”

これだと古本が一冊だけあることになるので「いつも笑ってしまいます」という。110頁

さて、本書に登場する傑作は、「クローズアップ」という和製英語。

近接撮影という意味の名詞は「クロウスアップ」で、発音がちがう。「クローズ(正しくはクロウズ)アップ」というと、店の戸締りや道路の閉鎖をするという動詞になる。

したがって、NHKのニュース解説番組「クローズアップ現代」を英語として理解すると

「現代を閉めよ」

というなかなかシュール surreal な意味になる。56頁。

バラカン氏は、

「『クローズアップ現代』は大好きですが、観るたびにタイトルの表記が引っかかって残念です」56頁

と書いている。

エーゴもどきの日本語に神経を逆なでされ、頭をかきむしるイギリス男の姿が浮かんできて、苦笑してしまう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?