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【コラム】 yes, no は文相当の「一語文」(構解)

英文法に関心のある人なら、yes とか no は何詞というのだろうと思ったことはないだろうか。名詞ではないし、形容詞でもなさそうだし...

英文法書や辞書をみると、「副詞」とか「感嘆詞」とか「間投詞」などと呼んでいて、一定しない。

これは「一語文」と呼ぶのがいいと思われる。たとえば、

"Do you have a car?"

"Yes."

というやりとりでの yes は、一語で "I have a car."  という文に相当する。

そしてyes じたいは、yes が代表している文の認識形式が肯定であることを表現している。逆に no は、no が代表している文の認識形式が否定であることを表す。

だから、

"Don't  you have a car?"

に対して "Yes." と答えれば、” I have a car." を表す一語文である。これが日本語なら、「いいえ、持ってますよ」と言うことになる。英語で"No." と答えると、話し手の認識形式は否定だから、"I don't have a car." を表す一語文になるが、日本語なら「はい、持ってません」となる。

どうしてこうなるかというと、英語の yes, no は、もっぱら応答者自身の認識形式が肯定か否定かを表すのに対して、日本語の「はい」「いいえ」は、質問者の認識内容を応答者が肯定するか否定するかを表すからである。

yes, no のほかにも、

Well... (ええっと...)  Oops! (おっと!)

のように、肯定・否定の判断を保留したり、たんに驚いたりする語も、認識内容はあるのだが、うまく表現しにくいことを表す、一種の「一語文」といえる。

一語文は、文に相当する認識内容を一語で表す<隠れた構解(文)>である。

*リーダーズ英和辞典(研究社)は、yes, no を「副詞」に分類したうえで、「文相当語」だと説明している。この「文相当語」という概念が、ここでいう一語文にあたる。

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