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【コラム】 "There is a dog in the garden. " 「there is 構文」について

日本の英語の教室では、 S+V とか S+V+C といった「五文型」がよく教えられている。

ところで、五文型のうち、どの文型に入るのか議論がわかれる文がある。

There is a dog in the garden.

のような、「there is 構文」と呼ばれるものがそれである。

疑問文にすると、 Is there...  ? となることなどから、there は実質的な主語だと主張する人、there はたんに場所を指示している副詞で、主語は a dog だと言う人...

そこで、私の見方をメモしておきたい。

もともと there は、話し手から見て、自己(”I”)がいない場所をいう「代名詞」(トランス・グラマーでは「臨体」)である。Is there...  ? のように、there が主語のように扱えるのは、もともとthere は場所を言う名詞だからである。

だが、じっさいには、場所は人間の認識のなかでは主体が活動する空間的条件にすぎないことが多い。

だから、英文中では there が代名詞(臨体)として機能することはあまりなく、たいてい副詞としてあつかい、文尾に添える。

ところが、「there is 構文」の there は、主体(主語)の存在 is の場所を文頭で示して、聞き手の注意をまず場所に向けさせている。

これは、どこにいるかわからないような主体の存在をいきなり言うと唐突に聞こえるので、それを避けるために場所を先に言う語順が文法化したものである。

There is a dog in the garden.

の主語は a dog なのだが、A dog is in the garden there.  のような唐突さを避けるためにできた形式なのである。

こうして成立した「there is 構文」は、 A dog is ...のような第一文型とはちがう独自の文型である。だから「五文型」のどの枠にも収まらない。

では、英語は「六文型」というべきなのか?

じつはこれは、概念の立体的な組み合わせ(トランス・グラマーでは構解と呼ぶ)の型(パターン)の問題で、英語の場合、その基本の型は 九通りある。

「五文型」という教え方を見直そうという議論は以前からあるが、そのためは、主語、動詞...といった機能の組み合わせで分類しようとするのではなく、主体とその態(動態・状態・様態)という、概念の組み合わせの型を洞察する必要がある。

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