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【コラム】 なぜ第四人称はないか?

英語を習うと、第一人称、第二人称、そして第三人称とでてくるが、なぜ第四人称がないのか、不思議に思ったことはないだろうか。

それは、<この文の話し手>(”I”)という概念からみれば、あとは<聞き手>("you" )と、<話し手でも聞き手でもないもの>( " he"  "she"  "it" ...)の二つしかないことを、英語が発見したからである。

「人称代名詞の特質は、話し手との関係概念を表現するところにあるということができる。…話し手との関係ということは、その人が聞き手であるか、話題の人物であるか、あるいは話し手自身であるかということ以外には無い。」

鈴木覺「関係詞論ー<代名詞>論の批判的検討」佐良木昌編『言語過程説の探求 第一巻 時枝学説の継承と三浦理論の展開』明石書店、2004年所収、119頁

英語の三つの人称に似ているのが、日本語の「こ・そ・あ」つまり「指示代名詞」である。

日本語では、文の世界の話し手がいるところにあるものを指す「これ」を基準に、聞き手のいる場所にある「それ」、話し手からも聞き手からも遠い「あれ」と三分類することで、なんでも指せる。

日本語の「こ・そ・あ」と同じ<話し手・聞き手・その他>の原理によって、英語は三つの人称で足りるのである。


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