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なぜトランス・グラマーは必要か いまの英文法はカテゴリーの立て方に問題がある

言語表現では概念が使われるが、通常の概念よりも上位の概念として、「カテゴリー」と呼ばれるレベルがある。

カテゴリー (Kategorie, catégorie,  category) とは、

「認識の根本形式として人が従わなければならない最も一般的な概念群」(マイペディア)

「人がものを考え認識するにあたって必ず従わなければならない形式としての最も一般的な概念ないし分類語」(世界大百科事典 第2版)

あるいは

「アリストテレス以来の用語。事物を分類する際、もはやそれ以上に分けることのできない、最も根本的、一般的な基本概念(属性、量、状態、関係等)。最高の類概念。範疇(はんちゅう)」(日本国語大辞典)

とも説明され、具体的には次のような例がカテゴリーである。

「最初の定式化はアリストテレスによってなされ(《カテゴリー論》),実体,量,性質,関係,場所,時間,位置,状態,能動,所動の10種。

ストア学派,スコラ学での深化・統合を経て,カントは純粋悟性概念としてとらえ,4綱12種のカテゴリーを導いた」(マイペディア)

つまり、カテゴリーは概念の一種であるが、個別概念を包括する上位概念である。

個別概念運用の規範である文法は、カテゴリーの体系である。

たとえば、学校英文法でいう八品詞(名詞、代名詞、形容詞、副詞、動詞、前置詞、接続詞、間投詞)は、個別概念を束ね、概念の運用規範となるべき包括的概念=カテゴリーとして設定されている。

むろん、ある言語の文法すなわち概念運用規範=カテゴリーのとらえ方には、いくつもの可能性がある。

カテゴリーの設定(文法のとらえ方)が表面的である場合、下位の個別概念が適切に理解できないので、外国語の習得では根底的な障害となる可能性がある。

英語を素材とした言語学の著述で、八品詞という伝統的カテゴリーを見直したものは、あまりないのではないか。

認知言語学など、最新とされる言語学の理論も、じつは伝統的な学校英文法のカテゴリーである八品詞を前提としているようにみえる。

私は、そこに現在の言語学の根本的な欠陥が現れていると思う。

言語学に限らず、学問とは、基盤となるカテゴリーの体系の更新である。

既存のカテゴリーの設定の仕方すなわち学校英文法のカテゴリー編成を見直さねばならない。

そうでなければ、たくさんの論文を書いて下位の個別概念を整序しても、従来の言語学の限界を超えることはできないし、英語習得の困難も根本的には軽減されない。

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