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クレタ文明 線文字B の解読

クレタ島で発見された線文字B の解読者といえば、イギリスのヴェントリス(1922-1957)だが、そのヴェントリスに先行した研究者がいた。

アメリカはニューヨーク在住のAlice Kober という古典文献学のカレッジ教師。彼女は線文字Bの解明に魅せられ、1930年代から18万枚ものカードを作成したが、1950年、解読直前で他界した。

ヴェントリスは彼女の業績を参考に、1953年、ついに解読に至ったが、Kober の業績については多くを語らなかったという。

ところで、Kober の努力を紹介した記事に、

On how Kober came to be obsessed with cracking the code to Linear B

という一行があった。

http://www.npr.org/2013/06/30/196233019/how-one-woman-nearly-deciphered-a-mysterious-script

太字にした部分は、おもしろいことを語っている。

Kober が夢中になったのは、線文字B そのものというより、線文字B を成り立たせている規則 the code to Linear B の発見であった、というのである。

これは、言語を成り立たせている規範が、言語の本質であることを示唆している。

言語を線文字B のような一種の暗号とみなすとき、言語の背後にある人間精神の働き方に関心が向かう。

この人間精神への関心が、言語学の根底にあるものである。



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