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<体・態・相> 英語の概念には三つの層がある

英語の概念には、<体ー態ー相>という三つの層がある。

体(たい・からだ)...  体は、意識のなかの対象を「ひと・もの・こと」としてとらえる概念で、人間でいえば、身体そのものにあたる。身体があると服を着ることもできるし、装飾をつけるなど細かい工夫もできる。それぞれの体(たい・からだ)の概念に、それぞれの音声・文字を対応させると、いわゆる名詞になる。

態(たい・なり)...  人間は、出かけるとき、その場にふさわしい服を着る。これを「身なり」という。英語でも、体(名詞)をじっさいに表現するには、態(たい・なり)を着せる。英語の態には具態・動態・状態の三種類があり、それが音声・文字で表現されると、それぞれ冠詞・動詞・形容詞になる。

相(そう)... 身体や身なりには、「とても」小さいとか、動いて「いる」とかいった、そのときどきの細かい様子(相)がある。英語でも、体や態や相じたいのこまやかな相を表現する概念が発達している。

様相(表現して副詞)がそれであるが、動態(表現して動詞)も進行相・終了相をもつ。状態(表現して形容詞)や様相(副詞)じたいも、比較相や最上相を表現する形態(いわゆる比較級・最上級)をもっている。

構解(文型)、立解(前置詞)、連解(接続詞)も、体・態・相がそのときどきにとる具体的な様子を表現する概念なので、相の一種である。


補足:なぜトランス・グラマーでは<体・態・相> という語をつかうか 

【体】 「体」はもともと「體」と書き、骨が密度高く集まっている様。そこから、「からだ」を指した(新漢語林)。明治時代の日本では、「体」の字がもつ<内容のつまった、頼りになるもの>というニュアンスを活用して、西洋哲学の substance を「実体」と訳した。この伝統を受け継ぎ、トランス・グラマーでは実体概念(表現して名詞)を「体(たい・からだ)」と呼ぶこととした。

【態】 substance (実体、体)は、<属性 attribute を担う基体>となる。ここで属性とは、基体としての実体が本質的に(もともと)もっている性質のことで(日本国語大辞典)、具体的には、実体がその場に応じて発する性質として現れる。属性は、人間の身体がその場に応じて着用する衣服すなわち「身なり」に似ているので、トランス・グラマーでは、具態・動態・状態という、英語の実体の三種類の属性を「態(たい・なり)」と呼ぶことにした。

【相】 相の字は、樹木をじっと見る様子(木+目)を表した字で(新漢語林)、よく観察すれば見えてくる細部、というニュアンスがある。人の手の平の細かな違いを「手相」というのは、その例である。伝統的英文法では、「進行相」「完了相」のように、「相」という字を aspect の訳語として用いてきた。トランス・グラマーでも、この「相」をもって、<態では表現しきれない、体や態や相の細部の様子>という概念を表すことにした。相の代表は様相(表現して副詞)であり、そのほかに、動態(表現して動詞)の進行相・終了相、状態(表現して形容詞)や様相(副詞)の比較相や最上相(比較級・最上級)、構解(文型)、立解(前置詞)、連解(接続詞)といった相がある。

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