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a(n), - s, the をたとえると...

a(n), - s, the の冠詞類が表す概念を、私は「具態」と呼んでいる。

具態は、体(名詞)がとる態(名詞の様子)の一種で、単態 a(n)・複態 -s・定態 the の三種がある。

言語は、普遍的な概念を元にして、その場面での特殊な、具体的な意味を表現する。

具態についても、<概念を元にした、その場での具体的な意味の伝達>という角度からとらえると、次のような比喩も可能だろう。

■ a(n) は、ものごとの輪郭線である。a(n) をつけると、その場面で他とは区別される輪郭をもって存在する名詞である。絵画で、ものがくっきりとした輪郭線で描かれた様子に似ている。

輪郭とは、その場面で名詞がもつ構造性、反復性、分類性のことである。たとえば「お替り refill」は、概念上、何回かありうるという反復性をもつ。この反復性が輪郭線の元となり、その場面での一回分を、I'd like a refill. (もう一杯飲みたい)と表す。

■ the は、ものごとを収容する額縁である。絵画や写真を額縁に入れると、特別扱いされた作品らしく見えるのは、the の効果に似ている。

the は額縁だから、看板とか記事の見出しのように、額縁にあたるものが話し手の目前に存在するときは、the はなくてもよい。たとえば「工学部」の看板なら、Department of Technology などと書けばよい。このときthe があってもいいが、ないと額縁がひとつ取れるので、場所に密着した感じがする。

■ -s は、 a(n) と the の中間である。a(n)と同じく、-s は名詞の概念がもつ構造性、反復性、分類性が元になった輪郭線ではあるが、複数なので輪郭線がいくつにも分かれたり連続したりして広がっており、額縁っぽい感じもある。

a(n), - s, the という具態は、動態(動詞)や状態(形容詞)とともに、話し手は名詞のその場での特殊なあり方(意味)を表現する。

英語の名詞は、a(n), - s, the とともに覚えることで、概念としての普遍性と、意味としての特殊性の二面から把握する練習ができる。


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