【現在進行形のDX】電子帳簿保存法改正施行から1ヶ月半。やはりというか何というか・・・
2022年1月1日、電子帳簿保存法が改正施行されました。
この電子帳簿保存法は請求書や領収証といった税務関係書類の電子保存について定めた法律で、正式には、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)」と呼ばれるものです。
今回の法改正では紙の書類を電子保存する際の要件が緩和されました。そのため、今までよりもデータ化しやすく、紙書類の保管を必要としないケースが増えるため、紙書類整理が容易になってくるでしょう。
しかしです。
今回の法改正にはもう一つ、付け足しがあります。
「電子だけで受け取った書類(PDFやJPEG画像等々)は、法の規定するやり方で電子保存しなくてはいけません、紙に印刷していても保存していないと見なしますよ」というもの。
詳しくは国税庁が情報を出していますので、そちらを読み込んでいただきたいと思いますが、この改正は言葉悪く言うと。
「いつまでも紙で経理処理してないでITのチカラで処理しませんか?せっかくデータで届いてるんだから、そのデータを活かしましょうよ。印刷なんかしてないで!」
といったところ。
(参考)国税庁 「令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/12.htm
この改正点、一般にはあまりにも浸透していませんでした。
そのため、2023年12月31日までは、キチンと電子保存できていなくても、紙に印刷したりして正しく記帳・納税できている限りにおいては「大目に見てくれる」こととなりました。
経営者によっては、この改正点を未だに知らなかったという方もいらっしゃるでしょうし、改正点は知っているけど、まだそんなに慌てて対応しなくても良いんじゃないと思っておられるかたもいらっしゃるでしょう。
そうですね・・・この法律だけを見れば、まだ時間があると言えるかもしれませんが、ここで安心することはできません。
2022年4月1日改正施行が予定されている「個人情報保護法」対策や2023年10月1日にスタートする消費税インボイス制度のスタートなど、ルール改正がひかえていて、これらの対応とも関係してきます。
また、ルール改正以前に「人は慣れていることを変えることが難しい生き物である」ことが大きく影響することを忘れてはなりません。
普段からITに慣れていない方、経理事務に慣れていない方にとって、業務のやり方を変えるのって面倒くさいし、新しいものに対しておっかなびっくりで、なかなか浸透しないものです。
少しずつ、段階的にやり方を変えていく必要があります。
是非、早めの対応をオススメしておきたいと思います。
さて、弊社ではクラウドのサービスを利用することも検討しましたが、書類のボリュームや業務の行い方を踏まえた上で、自社システムを開発して対応することにしました。
まず手始めに普段使い慣れている業務システム内に電子帳票を受け入れる機能を追加して、簡単操作で取り込めるようにしました。電子帳票はスタッフ全員が入力できます。データが集まらないと始まりませんよね。
取り込んだデータは、私がチェックしてタイムスタンプ付きの電子署名を施し、いつ受け入れたのか、誰がチェックしたのか、改ざんされていないかどうか分かるようにして保存していきます。
また、法律で規定するデータ検索もできるようにしています。
せっせと電子帳票を蓄え始めて1ヶ月半。少しずつ見えてきたことがあります。
現在、登録された電子帳票は820ファイル820MB。オリジナルのPDFと電子署名したPDFの両方を保存しているため、このファイル数、データサイズになっています。同じペースで保存が進めば、両方保存で年間6GBのストレージが必要で、7年間保存を考えると最終的には42GB必要です。電子署名したPDFだけ保存することにしたとしても、21GBは必要。社内のストレージ保存するのであれば、痛くもかゆくもないですが、オンラインストレージを使うことを考えると、コストはかなりのモノになるでしょう。
紙データをスキャンする際の解像度設定を規定のギリギリに近づける工夫が必要かも知れません。データ圧縮については自動化しないといけません。スタッフに気合いと根性でデータ圧縮させると時間的な経済損失が会社を襲います。
せっせと蓄えた電子帳票をただ格納しておくだけでは能がありません。キチンと活用できるよう、システム設計する必要があります。何のための電子データ化でしたっけ?
そう、法対応だけやっていると、ただただ事務が増えただけになってしまうのです。
まずは経理システムと連携して、経理事務が効率的に安全に処理できることを目指します。弊社では今ここの部分の開発を急いでいます。現在部分的に完成していて、プレ運用中ですが、全面的に完成すると、既存の会計システムを補完する力強いシステムとなりそうです。
挑戦は続きます。
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