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【鑑賞記】ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン@アーティゾン美術館

見に行くかどうするか、ちょっと悩んでまたしても会期終了直前に滑り込む。
事前情報のびっくりハウスがやっぱり気になったんだよなあ…。
(イロモノ好き)

《汝、経験に依りて過つ》(2023)

会場に足を踏み入れて初っ端にびっくりハウス、もとい、《汝、経験に依りて過つ》というインスタレーション展示です。
入口の前で中を眺めた時点ですでにクラクラします。
これ、写真じゃまったく伝わらないんだけど、すごく気持ち悪い。

《汝、経験に依りて過つ》(2023)

入口ですでに気持ち悪いので、室内に足を踏み入れてどうなるかは火を見るより明らかですね。クラクラするぅ。
まったく写真からは伝わらないですけど。
結構な傾斜ですよ、これ。
そこに加えて視覚がバグってるのでまあびっくりするくらいに姿勢が危うい。
手すり、手すり掴まらないと危ないって。(ヨロヨロしながら)
なかなかの気持ち悪さに楽しくなってしまって、全展示見終わってから、最後にもう一度入口から入り直しましたね、私は。

《モスキートルーム》(2023)

インスタレーションが大好きなワタクシ、続いてご紹介するのは《モスキートルーム》という四方が真っ白な空間です。
入口から見て正面に何か書いてあります。
近寄ると……

《モスキートルーム》(2023)

ちなみに私は入口横の解説マンガを熟読してからこの部屋に入ってきました。
周りを見ると皆さん壁に向かってじーっと立っておられます。
いや、私も同じことしてるんですけども。
白い壁に向かってじっとしてると、飛蚊症のアレが見えてくるわけです。
それが顔のあたりを丸く覆ってるような感じで。
これまた不思議な心持ちになる展示。

《さんさしおん》も面白かったです。
こっちから見るとなんだかわからない。
なんで1枚だけ展示ケースの中にあって、もう一枚はケースの外なのか。
ケースの中の作品は真ん中に展示してなくて、不自然に右寄り。
これだけ見てるとなんだか気になるバランスです。

《さんさしおん》(2023)

次に位置を移動して外側に出ている作品の方へ。
するとあら不思議、展示ケースの中の作品が「さんさしおん」と読めるように!
不思議もなにも、外側の作品がガラスに反射したものが中の作品に重なって見えているんですが。
小学生の頃に窓開けて半身だけ外に出して反対側から見てる子に向かって
「見てみて〜、飛んでる〜」
って言いながら手足を動かして遊んでたなあ、なんてどうでもいいガラスの反射の話を思い出したり。関係ないな、この話。
完全に反射しちゃって内側と重なってはないからな、この話。

《さんさしおん》(2023)

ガラスの反射で出来上がる文字というのは、なんだか幻っぽい。

インスタレーション好きとしては、最後に《アウトライン アナグラム》という作品にも触れておきたい。
この作品、残念ながら写真撮影不可だったので手元に写真はないです。
とても面白い展示でした。
雪舟の山水図みたいな奥行きを感じられる作品。
重ね絵を実寸大で表現してると言えばいいのか。
最初、普通に見てたんですけども、ふと見ると壁に山口氏のメモが貼ってあって
「片目で見るのも一興」
とあったんですね。
そうなると当然片目で見るじゃないですか。どうなるか。

両目で見るよりもリアルに奥行きが感じられる…!なんだこれ、おもしろ!
ここまで来てちょっと気がついたんですけど、もしかして視覚って一番頼りない感覚だったりするのか…?騙されやすくない…?お前チョロいぞ…。

そんなこんなで、作品をキャプションなど含めてじっくりと眺めたり熟読したりしながら結構な時間を過ごしました。
情報量が多い。
絵画作品についてほぼ触れてないですけど、全部すごかったです。
《東京圖1・0・4輪之段》は図録に「飽きて投げやりになったところ」があるとか書かれてたんですが、飽きるまでが長すぎるYO…。
凡人には到達出来ない熱量だなと思いながら、私はひとり視覚をバグらせていたのでありました。
おしまい。

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