スクラムマスター研修に参加したら、認定されなかった件

Odd-e Japanが開催しているScrum Alliance公認のスクラムマスター研修に参加しましたのでアウトプットします。

ネットには認定されなかった話が少ないようなので貴重なアウトプットです。

研修の内容

「今から皆さんには、課題を解決してもらいます。」

研修では課題が与えられ、全員でその解決に取り組みました。

スクラム研修前に、「スクラムプライマーアジャイルマニフェストを読んでおいてね」という案内があります。
なので、スクラムの知識に関する学習は初日の午前中で終了です。

課題解決にあたり全員にスクラムマスターとしての振る舞いを求められます。

研修中に能力をアピールできず認められなければ、研修後に行うスクラム認定の受験資格がもらえません。

研修は3日間あり過酷なものでした。頭の使いすぎや議論疲れで、眠れない状態に陥った方も多かった様です。

1日目

〜研修開始〜

トレーナー「参加するだけでは認定はもらません。」

トレーナー「認定されるには、3日間でスクラムマスターとして認められなければいけません。受けるだけでは認定はもらえません。」

トレーナー「皆さんよろしいですか?」

「。。。。」

という注意があった後に、事前に学習したスクラム資料に補足を加えつつ、スクラムの概要について再確認します。

〜昼食タイム〜

昼食はお弁当が用意されています。
和気あいあいと、みんなでお弁当をいただきます。

ただ、このときトレーナーだけが黙って座り、お弁当を食べていませんでした。
(ダイエット中かな。

〜午後〜

トレーナー「はい、皆さんはもうスクラムは理解できましたね。」

「。。。。はい」

トレーナー「今から皆さんには、課題を解決してもらいます。XXXという問題があり、皆さんで、スクラムマスターとして解決してください。」

トレーナー「どうぞ。」

課題解決に向けて議論が始まりました。

私は課題をあっという間に解決して、ワークショップをやったりしてスクラムについてもっと学びたいと思っていました。

しかし、議論の進め方を議論する流れとなります。

「全員で意見を出し合いながら進めるべきか、グループで議論してから意見を出し合うのか決めましょう。」

様々な意見が飛び交います。アイディアや反論意見、反論意見を無視したアイディアが出るなど、無秩序な状態での議論です。

スタート地点にすら立てない感覚でした。

そして、この日はその議論の結論がでませんでした。
全員が、間違っている方向に進んでいると分かっていながら、軌道修正できずにいたのです。

2日目

昨日の議論の結論がでないまま、結局全員で議論します。
議論のルールを作りましょうということになりました。

・意見がある場合は、手を上げて指名してもらい意見を述べる。
・それに対し反論意見を述べる。反論がなければ全員の合意とみなす。
・・・など

〜昼食〜

ご飯の味がしないぞ。あれぇ?となります。

いろいろな思いがよぎり。
そして、ご飯が食べられない。

〜午後〜

タスクリストを作成しました。
しかし、タスクの内容のレベルがバラバラでどれから着手すべきかの議論となり、まとまりません。

タスクの進め方の議論し、進め方が決まったら、着手するタスクを決めるためにタスクの優先度の基準決めの議論で、その日は終わりました。

まだスタート地点に立てているのかどうかもわからない状態でした。

〜帰り際、トレーナーとの雑談〜

残って他の参加者と議論し、トレーナーと雑談しました。

私「お昼ご飯食べていないですよね?」(スクラムマスターってご飯たべないのかなぁ。

トレーナー「頭の回転が悪くなるので食べないです。」

私「お腹空かないのですか?」

トレーナー「お腹空いています。」

(現在進行形。。早く帰ろう。

研修の活動を阻害するものを排除し最高のパフォーマンスを出すという、ストイックで合理的な判断や行動ができるのがスクラムマスターなのか。

最終日

タスクリストの優先順位を付けるための基準を決め、いよいよ基準をもとにタスクの選定を行います。

〜研修残すところ2時間〜

「ファシリテートやりたい人。」

私「やります!!」

この最後のタイミングでやったのはマズかった。
疲れすぎて頭がまわらない、みんな何言ってるか理解できない。

〜休憩〜

トレーナーからアドバイス(注意)を貰いました。

トレーナー「ファシリテートとは、なんですか?」

私「えっ、あっ、全員の意見を拾う役割?」

トレーナー「。。。」

私「議論を誘発させる役割。」

トレーナー「。。。」無言で立ち去りました。

ここで私は考えました。
(みんなの議論活性化できないしなぁ。迷惑かけるし、合理的に判断して、だれかに代わってもらうほうがいいかも。

同じテーブルの参加者に話しかけました。

私「ファシリテート代わってくれませんか?」

トレーナー「最後までやったほうがいいですよ。(遠くから)」

(聞こえてた。。

私「そうですね。やらせてもらえるなら頑張ります。」

(とりあえず甘い物食べよう。。

〜休憩終わり〜

糖分を補給し、ファシリテートを行いました。
サポートされながら、なんとか議論を進めました。

私「では、優先度が決まりましたので。タスクを決めたいと思います。」

私「どのタスクをやるべきでしょうか?意見お願いします。」

研修参加者「。。。。」

ながい沈黙。戸惑う私。

私「休憩いれます?」

研修参加者「。。。。」

ながい沈黙。戸惑う私。

私「じゃあ、休憩中に考えまとめるのどうですか?」

研修参加者「議論をして、みんな考えがまとまっているので、その休憩には反対です」

(じゃあ、意見ください。。

意見でる。

そして、ラストスパートをかけるトレーナー。 

意見がいくつかでて、トレーナーがここぞとばかりに対案を出します。
このタイミングでトレーナーと議論する体力、精神力は0に近い。

(みんな顔死んどる。。

結論が出ずに時間切れで終了しました。

トレーナー「ここまで進まないのは、なかなか無い、かなり悪い。だけど皆さんお疲れ様でした。」

トレーナー「無礼な発言で気を害された方も居たかもしれませんが、お許し下さい。」

トレーナー「このあと時間のある方は飲みに行きませんか?」

疲れていましたが、とりあえず飲むことにしました。

おわり

難しかったポイント

・論理的に意見を言う。なので、自己紹介は不要です。

何者からの意見かの判断は不要。意見に対して良し悪しを判断するため、発言者と意見を紐付ける必要がないためです。

意見に対して論理的に意見を言う姿勢が求められます。

そのため、飲み会で名刺交換するまで参加者の名前がわりませんでした。

・多数決は不要です。

全員が合意して、議論を進める必要があります。

そのため、多数決で少数派を切り捨てる行為はスクラムマスターとしてあってはなりません。

・制限時間は不要です

制限時間がもたらす議論の結論が、全員の合意が取れた結論とならないためです。ただ、時間には限りがあります。

普段から誰が言ったから正しいと意見を鵜呑みにし、意見自体の良し悪しを判断できていない。多数決に従って少数派を切り捨て議論をしない。制限時間を決めて、よく考えずに合意する。
無意識かもしれませんが、日頃からそれらに決断を頼っていたため、難しかったのではないかと思います。

どんな人にオススメ?

スクラムの内容を学びたい方、資格取得が目的の方には、この研修はオススメできません。

スクラムマスターという役割を実践形式で理解したい方で実力を認定されたい方にはオススメします。

で、認定されたの?

タイトル通り、認定されませんでした。。。

認定試験の受験資格すら貰えませんでした。。。

研修後日にメールで、「あなたは合格と不合格の境界線上にいる。さもなくば1週間以内に、研修中のXXXについて返信してね。認定資格あると判断できたらメールするよ」という旨のメールが届きました。

メールを返信してから待てど暮らせどメールが来ませんでした。

というわけで、スクラムマスター研修に参加したら、認定されなかった件についてです。

XXXについては、核心をついた質問でした。XXXとは交渉に関するものでした。

たしかに、トレーナーとの議論になった際に、すぐに交渉を降りていたような気がします。また、議論慣れしていないので、すぐに頭が真っ白になっていました。

戦略を立てて交渉をする傾向があり、咄嗟の交渉はとても苦手で避ける傾向があるのだと再認識しました。

そして、スクラムの価値基準の一つ「勇気」が自分には不足していたのではないかと思います。

このあと、交渉アナリスト2級を取得したのですが、交渉アナリストについて学んだあとにスクラムマスター研修に参加した方が良かったかもしれません。

感想

スクラムの内容自体はWebで公開されていますし、学習することができます。しかし、スクラムマスター視点で書かれた文献は少ないので、スクラムマスターを理解する貴重な研修であると思います。

また、研修中にトレーナーが議論をカオスにしたり、意見をまとめる方向に誘導したり自由自在だったのが印象的でした。スクラムマスターのたった一言が、あっさりと全員の方向性や価値観を変える力があることを体験することができることも、この研修の魅力だと思います。

研修中にいろいろなことにトライしましたが、なかなかうまくいきませんでした。スクラムマスターとしての基礎能力が全然足りていませんでした。

認定はされなかったですが、スクラムマスターとは何たるかを少しばかり理解したような気がします。また、スクラムマスターについての学びはたくさんあったので、別途アウトプットします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?