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答えられなかった「なんで?」に答えを

選択的夫婦別姓をめぐる動きが、いよいよ活発化しています。

この12月末に、
今後5年間の女性政策を打ち出す基本計画(第5次男女共同参画計画)が策定されます。

それに先駆け行われたパブリックコメントには、
選択的夫婦別姓の導入を求める意見が約400件寄せられたそうです。
反対意見は0。0件です。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/949b2d003c1638e0dd86853d56f3cb0e48f8ff53)

にもかかわらず。

ここにきて、反対派のバックラッシュも激しくなってきました。
一部反対派の自民党員は「『絆』を紡ぐ会」というものを立ち上げたそうです。
(個人的に、「紡」って漢字が使われているのがものすっっっごく嫌^^)

今日のニュースでは、男女共同参画基本計画案の
>>選択的夫婦別姓の記述について、慎重論に配慮した修正案を示したが、反対派は再修正を要求し、了承は見送られた。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020120800985&g=pol)
とあります。

1996年に、法制審議会が選択的夫婦別氏制度導入を提言してから、すでに四半世紀経ってますが、
>>「結論部分が先走りすぎている」
のだそうです。
法制審議会で1991年から議論が始まったので、すでに30年近く棚ざらしにされているんですけどね。
(干物を通り越して、埃かぶってますよ…)

 *  *  *

2014年、私は南米エクアドルへ行ってきました。
海外旅行も、一人旅も初めてのこと。

現地の公用語であるスペイン語の予習は、
出発までの数ヶ月、NHKのスペイン語講座で学んだのみ。

到着後、4週間のホームステイ&スペイン語学校だけを予約し、
あとは動物園を巡りながら、約3ヶ月滞在してきました。

異文化コミュニケーションで衝撃を受けたことは数えきれず、
そのどれもが私の大切な経験になっています。

ステイ先のホストファミリーは、
私の拙いスペイン語に合わせ、たくさんエクアドルのことを教えてくれ、日本に関心をもってくれました。

そのやりとりのなかでも心に残ったのが、
私の妹と同い年のJennに言われた「¿Por qué?(なんで?)」でした。

「Tomoco Sakaiって、どちらがファーストネームで、どちらがラストネーム? ミドルネームはあるの?」
「Tomocoがファーストネーム、Sakaiがラストネームだよ。ミドルネームはないなぁ」
「Sakaiはファミリーネーム? ひとつだけ?」
「うん」
「そうなんだぁ。エクアドルはね、ラストネームが2つあるの! PapáとMamáからひとつずつもらうんだよ!」
「へぇ〜!すごく素敵!」
彼女の誇らしげな口ぶりと笑顔が、いまも記憶の中でキラキラしています。

「Tomocoのは、お父さんとお母さん、どちらのラストネームなの?」
「お父さんだね。日本だとお父さんのラストネームが多いかな」
「ふぅん……なんで?」
この質問に、私は答えられませんでした。
スペイン語の語彙がなかったというより、完全に知識不足だったのです。

数年後、
この問いが私の心を突き動かすことになるとは、夢にも思いませんでした。

 *  *  *

帰国して数年後、
たくさんの寄り道や回り道の果てに、私は夫と結婚しました。

そして今、
私は自分の姓を取り戻そうと、選択的夫婦別姓の法整備を求める活動をしています。

「なぜ」日本では結婚時に約96%もの女性が改姓しているのか。
これは日本の文化でもなんでもなく(家制度や家父長制は1947年(昭和22年)に廃止されています)、
長年放置されてきた制度的、社会的な性差別だから。

あの時、答えがわかっていたとしたら、別の意味で答えに窮していただろうな、と思います。

あの時のJennの、きょとん、という顔。
彼女のまっすぐな眼差しも、「¿Por qué?(ポルケ?)」という無邪気な口調も、ありありと思い出せる──

──あの問いは、
これまで選択的夫婦別姓が認められず悲しみにくれてきたご夫婦、
今まさに結婚ができずに苦しんでいる多くのカップル、
この先、成長して結婚するかもしれない子どもたち、
いずれ日本という国に生まれてくる子どもたち、
すべての世代の声なのだな、と思います。

 *  *  *

選択的夫婦別姓に関して、
当事者はこれまで幾度となく、声を上げてきました。

パブリックコメントを送り、
いくつもの視点から国を相手取って訴えを起こし、
国会議員や地方議員に会って生活上の困りごとを伝え、
陳情や意見書を地方議会に提出し、
クラウドファンディングや署名を立ち上げ、
礼儀正しく、民主主義に則って活動しています。

しかし、
そうした地道な活動でさえ、大きなノイズに妨げられてしまうのです。
1996年も、2001年も、2002年も、2004年も、きっとこういうノイズがあったのでしょう。
https://twitter.com/28jdj_az/status/1335947166808821762
(選択的夫婦別姓導入のために動いている議員さんたちに、凸電やメールでわーわー言うだけって、楽でいいっすね。)

そして今、2020年12月。

自分たちの国の行末を案じて、 #男女共同参画ってなんですか と、署名を立ち上げる若者(U30)たちもいます。
http://chng.it/SZ7WKqXC
「選択的夫婦別姓導入に向けたエールを! #いつになったら選べますか
たった数日の署名期間に、30,000人を超える賛同が集まりました。

そして今日も、結婚を目前に控えて苦しんでいる人がいます。
https://twitter.com/amber_o589/status/1335634646885834753
数日前のツイートに、600を超える「いいね」がつくのです。
そして、リプライや引用RTには「黙り込んでしまう」男性の姿がちらほら。
(ツイ主さん曰く、彼の沈黙は「めんどい…」ではなく「どうしたらいいんだ…」という感じとのこと)

あなたの大切な人を苦しめているのは、あなたではありません。
そして、あなたを困らせているのは、彼女ではありません。
(ここではあえて「彼女」と言います)

諸悪の根源は、長年放置されてきた民法の不備です。

何度も何度も何度もこの話題に触れていますが、
とくに男性に関心を寄せていただければ幸いです。

「なんで?」って?

女性だけでは、この問題を変えられないからね。

 *  *  *

追記。
先日の津田大介さんのポリタスTVでは、選択的夫婦別姓について熱く語られています。
(通常は1週間の無料視聴期間も、「社会的に大きな意義がある」と特別に延長してくださっています。)
0:30:30頃〜の部分、必見です。
https://www.youtube.com/watch?v=_JblVkzWmnQ

ちょっと調べればわかることも、コメント欄にすぐかまちょさんが現れるので、陳情アクションのQ &Aも置いておきますね。(以下かまちょはスルーします)

https://chinjyo-action.com/qa/

*  *  *

追記の追記。
自分もこの流れに加わりたいという方は、
選択的夫婦別姓を推進している議員さんたちのSNSに「いいね️」をつけたり、一言「応援しています」とコメントしたり、RTやシェアするだけでもいいと思います。
反対派に「見えない」「聞こえない」「そんな奴はいない」と言わせないように。
1人の人間として、数を可視化しましょう。

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