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事業会社におけるPoCの進め方 検証環境編

事業会社で新規事業を担当する方など、PoCは日常的に検討されていることだと思います。
私もコンサルに勤めていた時や事業会社でもPoCの企画から推進まで経験をしているので、PoCに望まれる環境や検証観点、注意事項について述べていきたいと思います。

まずは、そもそもPoCを実施するに際して用意すべき環境を説明します。

それは、以下の3つを抑えた環境であることと私は考えます。

・スモールスタートが可能である
・実運用を想定した検証が可能である
・PDCAを回すことが可能である


スモールスタートが可能である

PoCは当該事業が投資に値するかどうかを検証するものです。そのため、投資の前に大規模に開発を始めてしまってはPoCの意味がありません。
また後戻りがしにくい状態を作ってしまうことになります。

開発人員も最小限、すなわちコストも最小で作れるモノを設定することが望ましいです。

実運用を想定した検証が可能である

これは実運用の環境にプロダクトを展開するということを言っているわけではありません。
実運用を想定して、それと同じ動きをPoCのプロダクトで再現できるかということになります。

例えば、PDFのファイルをエクセルに変換するソフトウェアを開発したとすると、そのソフトウェアのユーザは本来的にはエクセルに用があるわけです。
そのため、PDFをエクセルに変換できたとしても、文字化けを起こしていたり、莫大な時間がかかっていたりすると、実運用を想定した時に、利便性を感じる以前の問題で検証になりません。

よって、そのプロダクトの本質的価値を提供可能な状態が必要であり、それでいてかつ、ユーザに検証を求めたときに強い不快感をもたせるものではいけないと考えています。特にC向けのものはそうです。
協力者が集まるものも集まらなくなります。

検証の協力者に利用にあたっての我慢を強いるプロダクトではいけないということです。

PDCAを回すことが可能である

最後はこちらです。一発で終わるPoCは聞いたことがありません。
何度かのPDCAのサイクルを堅実に繰り返し、磨きこみをしてプロダクトができあがるものです。
この時に重要なのは事業会社でのステークホルダーのモチベーションコントロールです。長期化するPoCになればなるほど、ステークホルダーのモチベーションは次第に低下していきます。

ステークホルダーのモチベーションが低下すると、PDCAの精度は下がりますし、スピードも落ちます。
そうすると、何より自分のモチベーションも低下していくものです。

そのため、可能であればそのPoC自体のブランディングが非常に重要になってくるわけです。
そのPoCは事業会社における何らかの重要なピースを担っているなど、事業戦略上の重要な建付けであることが説明できると、ステークホルダーのモチベーション維持に一役買うことになります。

PDCAを回すことができるとは、すなわちモチベーションを維持し続けることができると言い換えてもおかしくないと思っています。

さて、ここまでで検証の環境について説明をしました。次回の記事は検証観点についての説明に進んでいきます

今回のまとめとしては、こちらです
・スモールスタートが可能である
→コスト最小で作れるモノ

・実運用を想定した検証が可能である
→検証の協力者に利用にあたっての我慢を強いるプロダクトではいけない

・PDCAを回すことが可能である
→ステークホルダーのモチベーションを維持し続けることができる


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