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「山﨑雅也 電子オルガンリサイタル」を終えて

昨日は学内リサイタル「山﨑雅也 電子オルガンリサイタル」でした。「リサイタル」と銘打ったのは実は初めて。せっかく大学院という研究機関にいるので、普段のコンサートやライブでは「やりにくいこと」を積極的に取り入れて選曲/制作を進めました。(言わずもがなエレクトーンを演奏しましたが、電子オルガンという表記なのは、大学の専攻名の都合です)

全5作品。平等に好きですが、特に力を入れて取り組んだのは、自作「組曲 - 弦楽四重奏と電子オルガンのための -」という作品。

ピアノクインテット的な作品なのですが、研究課題がいくつかありました。ピアノをエレクトーンに置き換えたときに音色のチョイスはどうなるのか、エレクトーンだからこそできる表現は何か、それに伴って弦の書法をどう変化させるか、演奏面での工夫、本番の音響・PAセッティングについての研究…

僕が知る限り、電子オルガンと弦楽四重奏という編成は、ほぼ無いのではないかなと。合ってますか?(平部やよい大先生の作品があるのは知っていますが、音源は入手できず…)ということで、まさにトライ&エラー。とにかく書き進めて、研究して、音出し。うまく書けたのか、ちょっとまだ分かりませんが、やっっっっとコツというかポイントを掴めた気がします。この編成、もう少し作品を書き進めたいです。

きっと拙い譜面だったと思いますが、この作品についてきてくれたカルテットメンバーに大感謝です!新井桃子ちゃん、木村美穂ちゃん、長谷川雪音ちゃん、飯田眞子ちゃん、ありがとう🔥

残り4作品、ソロ曲についても少しだけ触れておきます。

●パヴァーヌ Op.50 (G.フォーレ)
言わずと知れたフォーレの名曲。あまりにも有名で美しい旋律、和声だけ響かせてもメロディが聴こえてくる気がして、最後の最後まできちんとした形でメロディが出てこない焦らした編曲にしてみました。ラヴェルのピアコンを参考にしたと思います。

●ピアノソナタ第1番 (自作)
もともとピアノのために書いた作品。せっかくエレクトーンで弾くなら、ただオーケストレーションするより、エレクトーンらしさを出したいな、と。今年でエレクトーン誕生から63年が経ちますが、歴代機種の中で自分が特にリスペクトしている、1970年代の名機[GX-1]あたりを意識したシンセサウンドにこだわりました。

●即興演奏
モティーフ即興でもなく、音列即興でもなく、自由即興。その場で思いついたものを音楽に。

●回想 (自作)
自由な変奏曲を書いてみようと思い取り組んだ作品。2021年に作曲しました。その前年、2020年といえばコロナ禍真っ只中で、様々な価値観が変わってしまったなと感じます。その当時はそれを作品にする気力がありませんでしたが、1年ほど経ち、当時を回想しました。2年くらい前から出不精に拍車がかかって、無感動になってしまっている自分がいるのは事実。そんな状況を残しておきたくて、珍しく内省的な作品を書きました。オルガン曲として始まり、シンセサウンドに移行し…という実験的な作品。ㅤ


そして今回の最大の気づき。目の前の(ビジネスとしての)演奏業・制作業に一生懸命取り組むのはもちろんとても大切。ただそれだけではなくて、たまに「これ乗り越えられる???」と思ってしまうような実験的な課題を設けないと、自分は成長できず衰えていくのではないか?と薄々感じていました。

長〜い目で見たときに、使い捨ての音楽家にはなりたくないな、と。この言葉は好きではないですが「万人ウケ」する音楽に取り組まないというのは、本当に怖いし勇気が要ります😅それでも、今後もこういったことを定期的に続けていきたいです。今回のリサイタル、自分にとって良い糧になっていきますように😊

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